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□-キミノトナリ-
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●ことは様へ捧げます ※ことは様のみお持ち帰り可
「君が好き」
心の中では何度だって言えるのに
−− キミノトナリ −−
夕暮れの道をナルトとサクラは並んで歩いていた。
昔はいつも一緒に過ごしていたし、帰り道もほとんど一緒だった二人。
最近は二人でゆっくり並んで歩くことも少ない。
「見て、なんか懐かしいわね」
ナルトはサクラが指差すほうへと視線を移す。
真新しい額当てを誇らしげに額に当てた少年と少女が並んで歩いている。
任務帰りか何かなのだろう。
「昔の私達みたい…」
ふざけたり笑いあったりしながら歩く若い二人の忍びを見ながらサクラが愛しそうに呟く。
あの頃は毎日が輝いていて、自分達の歩く先には希望に溢れた未来があると信じていた。
自分の幼さにもまるで気付かずに、叶わぬ事など無いとそう思っていた。
実際には自分の力だけでは到底太刀打ちできないような現実が待っていた。
辛いことも悲しいことも全てが現実の中にあった
そんな現実の中をナルトとサクラは、互いに支えあい守りあいながらここまで共に歩いてきた。
だからこそ二人の間にある絆は深く強いものになった。
でもその絆が二人をいざよわせる。
「やっぱさ、額当てってすげー嬉しいもんなぁ」
サクラは、しみじみとそう言ったナルトの顔を見つめた。
「あ、オレはね。
特に嬉しかったんだと思うってばよ」
ナルトはニシシっと何時ものようにサクラに笑顔を向ける。
「そうね、ギリで卒業したんだもんね」
「うぅ…いいじゃん!結果オーライだってばよ!」
ちょっとだけムキになるナルトに目を細めながらサクラが言う。
「ねぇナルト。懐かしついでに一楽でも行こうか」
「お!いいねぇ」
「じゃ、決まり。ナルトの奢りね」
「はぁ?なんでーーーー?」
「いいでしょ、たまには。さ、行こっ!」
サクラはグイッとナルトの手を引いて歩き出す。
「まぁいいけどさぁ」とブツブツ呟きながらナルトも歩く。
こんなに近い二人の距離は
二人にとっては思うよりも遠い距離でもあって
もっと相手の心の近くに居たいと願うけれど、自分の心の声を言葉にしてしまったら、今のように一緒に居られなくなるような気がして相手に何も告げられない。
「ねぇサクラちゃん」
ナルトが前を歩くサクラに声を掛ける。
「なに?」
『 大好き 』
ナルトが振り向いたサクラに笑顔を向けながら心の中で呟く
「なんでもない。呼んでみただけだってばよ」
「…?なにそれ?」
「へへへっ」
サクラはまた前を向いて歩き出す。
少し歩いたところで今度はサクラが足を止める。
「ナルト」
「ん?どしたの?」
『 大好きよ 』
キョトンとした顔のナルトにサクラは心の中で囁く
「ふふ…呼んでみただけよ」
「ふーん」
くすくすと笑うサクラにつられてナルトも笑顔になる。
今はまだ このままでもいい
このまま手の届く場所で君を見て居たいから
近くて遠い君の隣に居たいから
今はまだ…
もう少しこのままで
(2011.1.22)
Dear. ことは様
「素直になれない二人」というリクエストで書かせていただきました。 んん???素直になれない二人か?微妙…(^^; 今の私の精一杯ですっ(*>_<*) ことは様、お気に召さなかった場合はご一報を!