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□雪幻でつないだ手
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●ゆん様へ捧げます ※ゆん様のみお持ち帰り可
カカシ班の四人は、雪の山道を歩いていた。三日間に及ぶ任務を無事に終えての帰り道。
「今日はここで一泊するから」
先頭を歩いていたカカシが振り向きながら言った。
「えぇっ?!まっすぐ里に戻るんじゃねぇの?」
「ん〜、ちょっとね。宿はもうとってあるから。お前達先に行ってて」
そう言いながらカカシが差し出した紙切れをサクラが受け取る。
「先に行けって、カカシは行かないのかよ?」
「あ〜、オレは別件でちょっと行かなきゃなんないの。お前達三人で先に行ってて」
「別件ですか…?」
「こう見えてもオレも忙しいのよ。出発は明日の朝9時ね。それまでお前達は休んでていいから。あぁ、そういえば冬祭りやってるみたいよ。三人で行ってくれば?」
そう言うとカカシは煙と共に消えた。
「冬祭り!面白そうだってばよ!」
「…くだらない」
サクラは全く正反対の反応をする二人を見てちょっぴり苦笑いを浮かべる。
宿泊先の書かれたメモに視線を移しながら、「ちょっとだけ皆で行ってみたいかも…」と思う。
任務や修行以外で三人揃って出掛けることなどあまりないのだ。
「とにかく、宿に行きましょ」
三人は宿泊先へと向かった。
宿に着くと、仲居の人にも「今は冬祭りをやってるんですよ。良かったら行ってみてくださいね」と勧められた。
ナルトとサクラは笑顔で受け答え、サスケはさも興味なさそうにそっぽを向いていた。
部屋に案内されると、テーブルの上に冬祭りのパンフレットが置いてあった。
この村では一押しのイベントらしい。
ナルトはウキウキしながらパンフレットをめくっている。
「なぁ、行こうってばよ!せっかく休みなんだしさぁ」
「面白そうよね。行きたいかも」
ナルトとサクラは、今にも額がくっつきそうな距離で顔をつき合わせてパンフレットに見入りながら楽しそうに話している。
「…オレはいい」
「えーー、何でだよ!」
「興味ない。お前らで行けばいいだろ」
「ねぇ、せっかくだから皆で行きましょうよ」
「そうだよサスケ!せっかくサクラちゃんも誘ってんのに!」
「…行かない」
キッパリと放たれたサスケの言葉に、サクラの表情が沈んでいく。
サスケがイベント事にあまり参加したがらないのは何時もの事だった。この答えも予想はしていたのだ。
でも、サクラは三人で出掛けたかった。
自分で思っていたよりも強くそう願っていたのかもしれない。サクラはサスケの言葉に沈んでいく心を止められなかった。
「サスケ!」
「…っだよ」
ナルトに強く呼ばれそちらに目をやると、サクラがしょんぼりと俯いている姿が目に飛び込んできた。
サスケの胸にチクリと痛みが走る。
いつも自分がキッパリと断っても笑顔でいるサクラが、すっかり落ち込んでしまっているのだ。
チクチクとサスケの胸は痛み続ける。
「…ったく。仕方ないな。…行くか」
サクラから視線をそらしながら、ボソリとサスケが呟くと空気が変わった。
ちらりとサクラの方を窺えば、パァっと笑顔になっている。
サスケは心の中でホッと息をついた。
「よぉしっ!んじゃ、早速行くってばよ!」
「うん!」
「はぁ…」
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