novel long1
□Kiss・Kiss
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本日の任務も無事に終え、ナルトはいつものようにのんびりと一人家路についていた。
時刻はすでに22時をまわっており、里は穏やかな静けさに包まれていた。
空を見上げると瞬く星がキラキラと夜空に浮かび上がり、真っ暗な夜の空に華やかさを添えていた。
いつもよりもくっきりとその輪郭を浮かび上がらせている星々を見上げながら冬が近づいてきている事をナルトは何となく感じていた。
仲間と共に任務に赴いた先々で一緒に眺めた星空を思いだす。
たくさんの仲間と様々な任務に就いた。
中でもサクラとは第七班、カカシ班として行動を共にすることが多く、一緒に星空を眺める回数も一番多かった。
色々な場所でサクラと並んで星空を見上げ色々な事を語り合い、笑い、そして時には涙を流し……
ナルトにとってサクラと見た星空はとても大切な思い出だった。
そう遠くない日々の事なのに、今はそれがとても遠い昔の出来事だったかのように感じる。
互いに忍びとしての実力も認められてきた。 カカシ班としての活動は今となっては殆どなくお互い別々の任務に就く事が増え、サクラとはゆっくり話すような時間がなかなか取れずにいた。
「サクラちゃん、どうしてっかな……」
星空を眺めていたナルトは無償にサクラに逢いたくなってきが、この時間から逢いに行くのもどうかと思う。
特に用事があるわけでもない。
ただ、顔が見たいだけ。
しばし迷ったが、ナルトは屋根の上へと跳躍した。
民家の屋根を軽やかに飛びながら、サクラの家へ向かう。
『もしも、電気がついていたらちょっとだけ…ちょっとだけ逢いに行こう。』
サクラの家に近づくにつれドキドキと高鳴る心臓。
屋根を蹴るたびにが胸の奥がざわめき締めつけられるような痛みにも似た感覚が襲う。
サクラの顔を見るというだけでこの有り様だ。
自分はどんだけサクラ好きなんだろうかと改めて思う。
この屋根を超えればサクラの部屋が見える……
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