novel long1

□月 華 -GEKKA- 
12ページ/62ページ


(2-2)


―― 誰か…私を呼んでる


 ゆっくりと重い瞼をあけると、ぼんやりした視界の中に心配そうに見ているナルトの姿があった。


「サクラちゃん!」 ホッとしたような優しい声。


―― ナルト


その名を呼び返してあげたかったがサクラは声が出せなかった。
代わりに目元でそっと微笑み返すと、ナルトはサクラの頬を優しく撫でながら
「よかった…」と小さく呟いた。


ぼんやりしていた視界が次第にはっきりしてくる。
そして、サクラはここが病院である事に気がついた。



「……病院」ようやく掠れた声を出す。

「うん。サクラちゃん昨日は一日眠ってたんだってばよ」

「……そう」




何があったっけ……


サクラはまだぼんやりとした頭で記憶をたどる。



起爆札が爆発して…


そうだ、ヒナタ達とどんどん離れちゃって
気が付いたら、敵に囲まれて……


たぶん、頭殴られたのかな?

後頭部に衝撃があって……


視界が暗くなって……



あ……




―― 我々の目的は、春野サクラ お前だ



意識が途切れる寸前で耳にした男の言葉が耳の奥に蘇る。



私が目的? なぜなんだろう?
全く身に覚えがない。
でも自分が目的だとあの男はっきりと言っていた。




「サクラちゃん?大丈夫?」



黙り込んでしまったサクラにナルトが声をかける。


「ナルト……」

ナルトに目を向けると心配そうに見つめている。
「平気、大丈夫よ。」と答えるとナルトは幾分かホッとした表情になった。


「ねぇ、私どうなったのかな?」


問いかけられたなるとは、ピタリと動きを止めてサクラを見ていた。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ