novel ss1
□星空/sakura
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ナルトは私の返事を聞くと
「じゃ、行くってばよ」と手を繋いだまま歩き出した。
子供の頃はよく手を繋いでいたのにね。
私のドキドキがナルトにバレちゃうんじゃないかと思ってなんだかヒヤヒヤ。
ナルトの手は大きくて暖かくて優しくて。
「どこに行くの?」
「う〜ん。着いてからのお楽しみだってば。」
ナルトは演習場近くの丘の上に連れて行ってくれた。
「ほら、ここだってばよ。空、見てみなよ」
「うわぁーーーーー!すごい…」
空一面に星が瞬いている。
思わず「…すごく綺麗」吐息のような呟きがこぼれた。
「すごいわね。ナルトの秘密の場所なの?」
「ニシシ…たまに一人で観にくるんだってばよ。」
なんだか星空に吸い込まれていきそうなくらい、綺麗で
星のあまりの綺麗さにすっかり見とれてしまっていた。
すると急に目の前から星達が消えた。
「 !!! 」
何が起こったか一瞬わからない。
「…ナルト?」
ナルトが私を抱きしめていた。
抱きしめる手がほんの僅かに震えているような気がした。
「ナル…ト?どうしたの?」
「…サクラちゃんが……このまま消えちゃいそうな気がしたんだってばよ」
そう言ってナルトは抱きしめる力を少し緩めた。
ナルト、なんだか泣き出しそうな不安そうな顔をしていた。
ナルトの手がゆっくり離れていく。
消えちゃいそう…なんて
私の方こそ、ナルトが居なくなるんじゃないかっていつもどこかで不安だったのよ
手が離れてしまう前に、ナルトの体に寄りかかってみた
「私、ちゃんとここに居るよ。」
「…うん。」
ナルトは離しかけた手で、もう一度私を抱きしめてくれた。
掠れた声で何度も頷きながら
「…ちゃんと居るでしょ?」
「うん。」
「消えたりなんか…しないわよ。」
「………」
「ナルトの…側にずっと…いたい」
「サクラちゃん…うん。離さないってば。大好きだよ。」
あぁ、ナルトが「好きだ」と言ってくれたのはいつ振りだろう。
子供のころはいつでも言ってくれていた言葉。
大人になるにつれて、口にしなくなっていった言葉。
もう一度あなたに言ってもらうことができて、とても嬉しい。
私もナルトが大好きよ。
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