文 関ヶ原

□熱と夢
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ざぱ…ん…
水がキラキラ眩しく気持ちが良い。戦場から帰った家康は井戸のそばで水を浴びていた。どうせ洗うからと服を着たまま頭からかけると戦場での暑さがいくらか和らいだ。
鎧・具足を外しかるく体をふくと、近くの自室に縁側から入り転がる。小さなため息をつくと、目を閉じる。
(また多くのものが死んでしまった。)
瞼の裏に浮かぶものは今日の戦場の光景。
今までも自分の力のなさから多くの大切な人を失った。以前と比べ悩むことは少ないが、心が痛むのは変わりはしない。
(早く…平和な世になってほしいものだ…)
家康の頬を秋の風がくすぐる。障子があけたままだった。と思いながらも今日の暑さからの疲れと、初秋の風の心地よさから家康は眠りの底に落ちていった
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