始まりは突然に

□9
1ページ/2ページ










―トントントン・・・



夢と現実の狭間から聞こえる音。
あぁ寝ていたのか。
音がするってことは名無しさんの奴帰ってきたのか
なぜかわからないが変な安心感が襲った。
まだ寝ているのもいいが無性にアイツの顔が見たくなった。
体に力をいれ立ち上がる。




キッチンへ向かうといい匂いがし始めていた。
そして視界に入る。
なにやら野菜を切っているようだ。
後姿からは表情は伺えないがなぜだか嬉しそうに感じた。後ろで結わいてあるポニー
テール。




―・・・触れたい




そんな衝動に駆られた。




手を伸ばし掴む。
黒くて猫毛でなんともやわらかい。




『いででででっ』



「不細工な声を出すな」



強くひいてはいないが、コイツが髪をもたれたまま動くから自然とひっぱられていた。



『お、おはよ
って起きて早々何嫌がらせしとるんじゃ、貴様は』


「時間・・・やけに早かったな」


『私の質問はオール無視か。
先生との勝負に勝ったから早く帰れたの』



勝負?



「お前、学校になにしにいってるんだ」



『青春しに』


俺はわけがわからなくなりその場を去ろうとした。



『ロー・・・ただいまv』



「・・・・あぁ」




どうも、調子が狂う


一瞬でもこいつに見とれていた俺はなぜだか妙な心境に疑問をうかべる。



『ご飯、もうすぐできるから』


「あぁ」




まだ、こっちへきて一日だというのに居心地が良い。なぜだ。
今は大した不安もなければ孤独感もない。
あるとすれば、向こうでクルー達がどうしているかだ。
くまの奴がちゃんと言ってくれていればいいが、相手は七武海だ・・・



いつ、戻れるんだ




『・・・・なんでガン飛ばしてるの?』







まぁ、ここへ飛ばされたことには感謝だな。




「・・・・飯」


『わぁーってるわい!!!』


「口より手を動かせ」


『もぉ!!!』





戻れる方法があるなら戻りたいが
しばらくこんな生活も良いと不謹慎にも思ってしまった自分がいる。



「ククッ・・・待ってる」



『へ?・・・あ、うん』




この百面相は見ていて飽きない。




さて、飯が出来るまで何をしようか





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ