短編小説
□星の数だけ
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―――――のは、あまりよくなかったみたいだ。
あの後、スピアーの群れに襲われ無我夢中で逃げたため、深い森へと迷い込んだ俺は右・左・上・下、どちらに進んでるか分からず、追い討ちにちょっとした穴に落ちてしまった。
しかも、日が暮れて夜だ。
あ〜ぁ、UFO探しが何故こんな事になったんだろう…。
自分の情けなさに呆れ、涙が出そうで、それが溢れないように上を向いた。
―――――っ
マサラタウンの夜空は
町の明かりが少なく(田舎って言われれば確かにそうなんだけどな)、それで星の光が奪われる事もないから、一番綺麗だと信じていた。
でも、山の上の空は清々しく澄んでいて、家の窓から見えない小さな星まで輝いていた。
星空を見る事によって自分が知らない物があるんだな〜と素直に思った。
多分、この星の数以上に…
只只星を眺めていると、星よりも眩い光が突然現れた。
「昨日の光だ!」
ここで初めて、穴から這い上がる行動を起こし、光が向かう方へとひたすら走った。
―――――
ついた先は湖の畔。
湖の真ん中に光る物…
「宇宙…じん?」
宇宙人かどうかわからない。
ポケモンかも知れない。
しかし、その発光体は俺の知らない生き物。
「あっ」
すぐさまその光は森の奥へと消えて行った。
なんなのか分からなかった。
けど、ドキドキした。
もし、10歳の誕生日が過ぎて、トレーナーとしての旅に出るとしたならば、もっとドキドキするんだろうな。
今分からない事が未来で知ったらいいなと胸に秘め下山した。
―――
家に戻る頃には朝方で、ママに嘘がバレて怒られたが、それでも気分は最高で、この気分をもっと知って欲しいと、友達のいる場所へと足を弾ませた。
―――星の数だけ