短編小説
□贈り物
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『なぁ…』
『ん…?』
『俺達…っ……つ…付き合って…いる…んだし…その…バレンタインのケーキとか…あまり関係ないんじゃ…』
『付き合っているからは関係ないよ。』
『恋人でもこういったイベントは愛の再確認みたいだと思うし…彼氏というのはこうゆうの嬉しいだろ?』
『じゃあ、俺作った方が…』
『いいんだよサトシは』
『俺じゃあ、美味しく出来ないからか』
『不味くてもサトシのなら食べるよ』
『これは僕が好きでやっている事なんだ。僕はサトシが今でも好きだよって…』
恥ずかしいセリフを照れずに言って、本当にキザな奴だと思ったけど、それでも俺はその言葉が凄く嬉しくて、毎年ケーキが届けば会えなくてもまだ好きでいてくれるんだと安心もできた。
でも今年は…
やべっ…寝てた。
随分暗いけど…いつまで寝ていたんだ?
「げっ…21時!?そんなに寝ていたのか…」
周りをみると、ピカチュウやデントも寝ている。
二人を起こさないよう、こっそり、部屋を出た。
「あっ、ジョーイさん」
「えっと、サトシ君ね。まだ荷物届いてないみたいだけど…大事な物?」
「えっ、まぁ…」
「それなら、ちゃんと送ったか連絡してみたら?」
連絡か…そんなの出来たらとっくにしてるよ。
そうだ…
「おぉ、サトシ。どうかね旅の調子は」
「えぇ、順調です。…それより博士、…シゲルから連絡ない?」
「シゲルから?いんや最近ではないのぅ…」
「そうですか…すみません夜分に…」
「はぁ…」
連絡ないか…
もしかしたらシゲル俺の事嫌いになったんじゃ…
それか他に好きな人出来たとか…
だってシゲルモテるし…
………
やだやだやだ
絶対やだ!シゲルが俺を嫌いになっても、他の人好きなっても嫌だ!!
シゲル…
何やってるんだよ…
「サトシ」
え?
「遅くなってすまない。」
シゲル?
「仕事がうまく切り出せなくてね…こんな時間になって…」
「シゲル!」
サトシは、なんの迷いもなくシゲルの胸に飛び込んだ
「サトシ?」
サトシの行動にびっくりしたシゲルだが、サトシの体が微かに震えているのを感じた。
「シゲルは俺の事嫌いになってないよな?他の人好きになってないよな?」
「僕がサトシを嫌いになるわけがないよ。ごめん、不安な思いをさせて…」
シゲルは強く優しくサトシを抱きしめた。
サトシをこんな思いさせてしまった事…こんな事ならば、ちゃんと連絡すれば良かったと自分の行動に後悔してた。
また、サトシが自分をそこまで愛してくれた事。
正直嬉しかった。
「そういえば、よくここがわかったな」
「博士に聞いて、大体の予想と後はカンで」
「やっぱり、シゲルのケーキが最高だな」
「やっぱり?」
「うん。おやつにデントが作ったチョコケーキだったんだ。あれも美味しかったけど、シゲルのが一番美味しい」
「それは、やっぱり愛の差だろ?」