短編小説

□贈り物
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ヒウンシティを目指して旅をするサトシ達はとある町に辿り着いた。



「今日はお祭りかなんかかな?この町」

「ピーカ」



町に入ったらどこもかしこもハートをモチーフにした飾りでいっぱいだった。



「たくっ、サトシって本当子供ね〜」

「なんだよ」

「今日は2月14日。恋する乙女達が勇気を出して告白できるというスペシャルな日さ。」

「?」

「今日はバレンタインって事よ」



バレンタイン…



「…俺、先にポケモンセンターに行ってる!」

「えっ?ちょっサトシ?」


アイリスの声を聞かず俺はポケモンセンターへと急いで駆け出した。

今日がバレンタインなら、もしかしたら…



「ジョーイさん!」

「いらっしゃい」

「オレ…マサラタウンのサトシです。俺宛てに何か届いてませんか?」

「マサラタウンのサトシ君ね。ちょっと待ってね…」
「届いてないわね…他のポケモンセンターに問い合わせてみるから少し時間ちょうだいね」

「わかりました…」



まだ出来てないのかな?


「…もぅ、サトシったら、いきなり走らないでよ」

「何か急用かい?」

「ん…わりぃ。」

「まぁ、いいわ。それじゃ…」

「「?」」



アイリスがガサガサと鞄の中を探り出した。



「はいこれ」

「「え?」」



目の前に出されたのは市販でうられているチョコ。



「バレンタインだし、旅してれば女の子から貰える宛てないでしょうから、あげるわ」

「いや、気持ちは嬉しいけど…板チョコのままって…」

「俺は別に貰える宛てが無いわけじゃ…」

「「えっ?!」」



やべっ、口滑った!



「えー意外!」

「人は見かけによらないっていうけど…」



ほっとけ。俺だって未だに信じられないよ。



「まぁ、それはそれとして、アイリスのはおやつとして頂こうじゃないか。」
「…このままじゃあなんだし、僕がアレンジするよ」

「このままでも美味しいのに…」










「お待たせ」
「フルーツたっぷりのチョコレートケーキにしてみました。」

「!」

「わー美味しそう。いただきま〜す」
「美味し〜い、ねぇ、キバゴ」

「キバ〜」

「サトシ、食べないのかい?」

「あっ…」

「サトシ君」

「はい」

「他のポケモンセンターに確認してみたのだけど、ないみたいだわ」

「そうですか…」



なんだよ。もしかして、忘れてるんじゃないだろなぁ。

なんか、俺だけソワソワして、俺らしくないしね?

フン、いいや。デントのケーキ食えれば



「いただきま〜す」
「んめぇ〜、流石デントだな。すげぇ旨いよ!」
「うん、旨い…うま…」



なんだろう、凄く胸が痛い…それになんか目尻が熱く…



「…ピカピ」

「え?」

「チャ〜」



ピカチュウに頬を触られて初めて自分が泣いているのだと気づいた。



「―…っ」



やばっ…



「ゴメン…俺先に部屋行ってる」



こんな事でみんなの前で泣くなんて…
これもそれもシゲルのせいだ!!
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