短編小説

□初夢
2ページ/2ページ

歩く中、違和感を感じた。
通る道にすれ違うポケモンは僕が知っているポケモンではなかった。

夢に自分が知らないポケモンが現れるものなのか?
そして、もう一つの違和感。

研究者としては珍しいポケモンは興味あるが、そちらに向かわず、ただ前へと進んでいく自分。

何か解らないその先へ。




歩いて数分経っただろうか、出口らしい景色が視界に入った。

僕は小走りで出口に向かった。



「―…っ」



目の前には、光輝く満月で、暗い森から出てきた僕にはもの凄く眩しく感じた。

視界がなれた頃、自分の行き着いた場所がたくさんに生い茂った草…草原だと知った。

そしてその草原に一人…


(まさかね…)



僕は唾を飲み込んだ。

満月を見つめているその少年の後ろ姿は見覚えがある…



「サトシ…」



思わず声に出してしまい、その声が彼に聞こえたのかゆっくりとこちらを振り向く。



「シゲル…?」



あぁ…やっぱりサトシだ。



「なんで…シゲルが…?」「そっか、俺、夢見てるんだな。こんなとこにシゲルいるわけないし…」


(夢…?)



これは夢なのか?



いや…なんでもいい。



サトシに会えた。



僕はゆっくりサトシの方に歩み、サトシを優しく抱きしめた。



「シゲル?」

「………会いたかった」



ずっと、ずっーと胸に奥に隠していた想い。
サトシの姿を見てそのタガがはずれた。



「俺も会いたかった」



サトシの言葉で目と目を合わせた。



自分からでもないサトシからでもない。

ゆっくりと瞳を閉じてお互いの唇を重ね合わせた。



















瞼を開いた。

瞼を開くとそこには見慣れた天井。
つまり研究所だ。



(夢か…)



身体をゆっくり起こす。
意識はまだあの草原の中…



(しかし、リアルだったな)



サトシの身体の温もりと、唇の柔らかさ…



夢で感じた感覚を噛み締め、僕はベッドから下りた。

この感覚を忘れない様に今ある仕事を終え、サトシのいる地方へ向かおうと決意した。





――――――――――――

一方サトシ



「うーあ〜、俺あんな夢見て…もしかして『よっきゅうふまん』かな〜///」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ