短編小説
□初夢
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僕が知った時には君は故郷に帰って来ていて、連絡した時には君は旅だっていた…
初夢〜キミに会いたい〜
年末年始研究所で一夜過ごし、その疲れが一気にきたのか深い眠りについた。
深く眠りにつく筈だったのに、なんだか体がフワフワしている感覚が僕の意識を呼び覚ました。
何も感じなくなったと思うと、頬に冷たい風が当たった。
(風?)
窓が開いているのだろうかと重たい瞼を開くとそこは森の中だった。
(え?)
自分が今、身に起きてる事に驚かずにはいられなかった。
(夢…?)
先程まで研究所にいたのは確かだ。それが、こんな暗い森にいるわけがない。
夢遊病だとしても、近くにこんな森はないし…
(夢しか考えられない…が…)
辺りを見渡せば見渡すほどこの夢はリアル的だった。
森に茂る草木の葉音、葉っぱから漏れる月の光、肌で感じる夜の空気、夜行性のポケモンが活動するざわめき。
どれも旅した時体験した感覚が夢に現れている。
(また、旅していた頃に戻りたいのだろうか…)
夢は自分が無意識に思っているものを現すと云われている。
この風景が自分が求めているモノなんだなっと、夢の中で知る。
(しかしどうしたものか…)
夢なれば目を覚ませば、いつもの風景…つまり、研究所に戻る訳だが…どうも、うまくいかない。
少しそこで佇んでいると、自分のいる所からもっと奥に何かを感じた。
それが何かは解らないが、僕はそっちに向かって歩き出していた。