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□人形事 アナザーver.
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『あーぶーとぉー遊ぼうよー』
『...。』
『ねぇーーーー。遊ぼうよぉー』
『............。誰のせいでこーんなに書類がたまってると思ってるんですかね?』
『上のせいだよ。』

当たり前じゃあないか。
今更何を言っているんだよ、阿伏兎の奴。

俺の部下は今、俺の部屋で書類(ただの紙くずじゃないか)と睨めっこしていた。



正直、この男を見ているだけで楽しい。格好いいからね。

『団長、たまには自分でやって下さいよ。このままじゃ俺の身体が持ちませんぜ?』

まさか。阿伏兎が倒れたりするわけないじゃないか。

『大丈夫!阿伏兎はこんなんで倒れる奴じゃあないよ。』

倒れてもらっちゃあ、困るしね。
俺は聞こえない位の声で、信頼してるからね、と言った。聞こえていないようだ。

『なあ、団長、過労死って知ってるか?』
『カローシ?何それ?』

そんなことより、団長じゃなくて、神威って呼んでほしい。

『過度な仕事が原因の勤労者の急死の事だ。』

うーん。漢字が多くて分かんない。

『阿伏兎がそうなるって?』

馬鹿馬鹿しい。絶対、ない。

『そうなったら、大変だろ?』

ああ。それはそうだ。あり得ないが。

『うん。俺は世間帯とか苦手だからね。阿伏兎にいてもらわないと、困る。』
『じゃあそうなる前にちょいと休ませてもらえませんかね?』

勝手に休めばいいのに。
でも知っている。この男は真面目だから、サボるなんて選択肢、はなから無いのだ。

うーん、そうだなあ...

『そうなったら俺が地獄の門番殺してこの世にひきずり戻してやるよ。』

俺の許可無しに死ぬなんて許さないよ。
阿伏兎、お前を殺すのは俺なんだから。

お前は俺のなんだから、生も死も、支配するのは俺だよ。

『天国なら手が届かないかも知れないけど、地獄なら何処までも堕ちれるからね。』

そう、地獄なら。俺はお前とならば底辺まで堕ちていってやろう。
天国なら。天使でも神様でも、翼を千切りとってお前追いかけていってあげる。

『俺は地獄逝き決定ですかコノヤロー』

ずっと一緒にいれるなら、何処でもいいけどね。

『じゃあ遊ぼう!気分転換に!書類なんて放っておいて!』
『上に言われるぞ?』
『その時は文句ある奴は俺が皆殺しにするよ。』

もちろん阿伏兎、例外なくお前もだよ。
俺の邪魔をする奴は一人残らず、ね。

『阿伏兎も今遊んでくれないと痛い目みるよ?』

さあ、どんな目に遭わせてやろうかと考えていたのに、どうやら遊んでくれるようだ。
うーん、扱い易いなあ

『じゃあ何して遊ぼうか……何もないなあ…』

だいたい俺、遊び方とか知らないし。

『ねえ阿伏兎、部屋のなかで遊ぶって何してた?』

この男はどういう事をして育ってきたのだろう、期待ていたら憶えていない、といわれた。

『じゃあいいや。普通何するの?』

なんかびっくりしている目の前の兎。
ん?俺、何か変な事でも言った?
それとも単純に、こいつの頭が変なだけだろうか?
俺、もとい男に発情したりするわけだし。

『何するの?』
『え〜と…飯事とか折り紙とか…人形遊び、お絵描き、積木…なんてところじゃねーの?』

たくさんあるなあ…

『何それ?』

まあどれも同じか。
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