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□恩返
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「ねぇ阿伏兎、俺がどんなに苦しかったかわかる?」
体が重くて、
体が痺れて、
頭痛がひどくて、
声がガンガンに響いてくる。
「わ…きゃゆ…」
「くるしい?」
…
俺は力なく頷いた。
「そかぁ〜」
なんて言って俺の首筋をつぅーっとなぞる。
全身がゾクゾクする。
「ふぁあ…」
どんなに我慢しようとしても漏れてしまう声。
「カッコいいね♪」
しゃべらないでほしい…!
「あぶとぉ……憎まないでよね?」
これは先にお前がやったんだからさ。
(にこっ)
その笑顔には何が隠されているんだ?
殺意?
好意?
自然?
「倍返しにしてあげる。」
…
こりゃぁこまったな…
まだ何とか理性が保っている。
だからこそこうしていられる訳だ。
もう時間の問題だと思うがな……。