Unexpected
□2nd あの日の真実 -沙保side-
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そのバーに行ったのはホントに偶然だった。
友達と遊んだ帰り道、まだ帰る気になれなかったわたしはふらりと知らない駅に降り立った。
どこへ行くともなく道行く人を眺めながら歩いて、そろそろ戻らないと迷うかもと顔を上げたとき、それはあった。
木造のレトロな雰囲気漂う小さなお店。
おしゃれな文字で『Foot Rest』と書かれた看板が、淡い光を放つライトに照らされていた。
…バー、だよね?かっこいぃ。わたしには似合わないなぁ。
わたしの顔は童顔とまではいかないけど、大人っぽいとも絶対言えない。
だから年齢より1、2歳下に見られることが多かった。
それに飲むよりは食べることの方が好きだから、バーなんて入ったこともない。
たぶんこのお店にも、普段なら入ろうとは思わないだろう。
でもそのときは、なぜか吸い込まれるように足を踏み入れていた。