二次創作文

□残蜻
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彼は何処へ行ってしまったのだろうか。

放浪癖があり、一度出かけると一切連絡がつかなくなる恋人は、度々部屋を空けては僕を困らせるのであった。

ふとした瞬間に思い出す、彼の少しの間部屋を空ける、という言葉を頭の中で反芻し考えること一週間。

「いつ帰ってくるのかなぁ」

今日も帰ってこなかったな、
寂しい気持ちと共にベッドへ入ろうとしていた刹那自室のドアが勢い良く開けられた。

「帰ったぞ」

視線の先には今か今かと待ち望んでいた彼の姿。

「蜻たん、何処行ってきたの」
「まぁちょっとな。ほら、土産だ」

あいつらには明日渡すからな、貴様がトップバッターだと大きな紙袋の中をがさがさと漁る。

「…あのさ、僕ムチばっかりもらっても使わないんだけど」
「何を言っている、今回はバラ鞭だぞ!」
「いやいやいや、一本鞭だろうがパドルだろうがこういう趣味無いんで」

彼らしい、と言えばそうなんだけど。
本当に彼は何をしに何処へ行っていたのだろうか。

どうしたものかと、半ば強引に貰った土産を見つめていると「だが本命の土産はこっちだ」と小さな箱を手渡される。

「‥わ、」

中には繊細な作りのスノードーム。
ガラスで作られたツリーにキラキラと雪が舞っていた。

「殺風景な部屋にどうかと思ってな。綺麗だろう」

予想外のサプライズに驚いている自分を見て、彼は満足気に笑う。

「ありがとう」

つい先刻まで寂しくてたまらなかったことなんて忘れて。

冷えた身体を抱き寄せ、お礼に小さな口付けを落とした。


end.




【後書き】

クリスマス中に書けて良かった‥!
寂しがる残夏たんとクリスマスプレゼントを渡す蜻様です

蜻様が部屋を空けている間、心配したり寂しがっていたらいいなぁという願望←
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