二次創作文

□双蝶
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「‥うん。何つーか…」
「汚いネェ(笑)」

「ゔっ、ゔる゙ざい゙‥ッ!」


【愛しい38度】


「風邪って言ったら潤んだ瞳と荒い息遣い、熱で上気した頬‥じゃね?」
「早く…治ると良いね」
「やつれている凜々蝶ちゃんもメニアックよ!」

部屋に尋ねてきた残夏、連勝、カルタ、野ばらが心配そうな表情で僕を見る。


「凜々蝶様、鼻をかまれては‥さぁチーン」

「鼻ぐらい自分でかめるわー! ぐ、ごほごほっ」


御狐神君の大きな手が伸びてきて、咳き込んだ僕の背中を静かにさする。

その温かさに安堵しながら呼吸を整え、皆を見る。


「皆さんに移しては大変です。ベッドに戻って休まれた方が…」

「う、うむ。そうさせてもらおうか」


──不覚だ。

環境の変化に慣れ、気が緩んでしまったのだろうか

背筋がぞくぞくする悪寒、まとわりつく様なひどい倦怠感と目眩の中目覚めた。

昨晩就寝する時、日中に感じていた違和感の正体は、

「あぁ、私がそばにいながら風邪をひかせてしまうなんて‥何とお詫びを申し上げたら…」

季節の変わり目、大きな気温差からくる風邪だった。


「僕がもっと自分の体調管理に気を付けていたら良かったんだ。御狐神君のせいではない」

そう、僕が悪いのだ。

皆にも少なからず心配をかけてしまった僕が。


きゅ、と両手を握る。

握られた布団には深い皺が出来た。


「凜々蝶様、あまりご自分を責めてはなりません」

俯いた僕の顔を心配そうに覗き込みながらそう話す彼に、
君も人のことを言えないではないかと反論しようとした刹那。


「そうです凜々蝶様、早く風邪を治す方法があります」

「ほ、本当か!」

そう言いながらにっこりと微笑む。

「はい、誰かに移してしまえば良いのです」

「‥ッ!?」


呆気にとられていると、彼の両手が僕の肩へ添えられ、互いの距離が一気に近づく

額、瞼、頬。

小さな音を立てながら、沢山の口付けが落ちてくる。


「あ、あの、御狐神く‥」

「凜々蝶様の風邪ならいくらでも引き受けます。早く元気になっていただきたいのです」

ね、と顔を傾げると尚も続く口付け。


ちゅ、

彼の指先が唇の輪郭をなぞる。

そして柔らかな感触が唇に触れた。

触れるだけのキスを重ねる。

息苦しさで薄く開けられた唇の隙間のその奥へ、
歯列をなぞり舌を絡ませ貪る様なキスへと変わる。


熱のせいだろうか、頭の中に白くぼんやりとしたもやがかかっていく。

「ふ、あっ‥ん…」

いつもよりも熱く熱を帯びている身体と、徐々に湿り気を帯びていく息。


一度離れた唇は、美しい絹糸の様な髪の毛をかき分け耳の輪郭をなぞる。

触れるか触れないか。

すぐそばで聞こえる相手の息遣いにぞくぞくしながら、
こわれものを扱うかの様な優しい口付けは首筋、鎖骨へと降りていく。


釦の外されたシャツははだけ、
起こしていた上半身を後ろへ倒され天井を仰ぐ。


「まだ何もしていないのに、もうこんなになってしまわれて‥可愛いですね」
「んああ、」

固く尖っている突起を弾かれ、その快感に身体が跳ねる。

やんわりとした手付きで膨らみをまさぐりながら、
空いた手は下へと伸び、脚の間のその奥へ。


「こ‥な、に…触っ……ら、あっ」


薄く広がっていたもやは思考を停止させようと、更に白く濃く広がっていく。

「あ、ぁ、あっ‥!」

やむことのない愛撫と快感。


「ひゃ、あん! ‥あっ、んああっ!」

愛撫する手が或る一点に触れた刹那、
白いもやが目の前を覆い、強い快感に身体を痙攣させながら僕は意識を手放した。




──


「‥38度ですね」

「げほげほっ」


「凜々蝶ちゃん昨日よりも苦しそうじゃない?」

「そーたんはツヤツヤしてるのにねぇ〜」


結果、治るどころか風邪は悪化してしまった。


end.




【後書き】

ちよちゃんの鼻をチーンしようとするそーたんが書きたかっry
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