台詞なし小説
□決意
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【決意】
流すはその風に。
そよぎ、靡くはその銀色。
静かな面持ちのまま、何処という事も無く空を見上げた。
いつか、こうした日々を送ったか。
もはや叶うことなき儚き過去。
…心は決まっていた。
それを誰かに打ち明けるつもりは、ない。
聞かれたら、どう返答するかも、考えてはいない。
必要性がないと感じたからなのか。
昔の自分に区切りをつけたかったからなのか。
…それとも…
噂を気にすることもなく。
言いたければ言えばいい。
真相はそこにはないから。
名残惜しさは、ない。
明日、この長き銀色はなくなる。
…そして…
解かれたその長い銀の色が、風に煽られ、空へと撒き上がった…