3Z置き場

□全国大会-さらば碧き面影-
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答えない土方に銀八はやはり己の言った言葉で彼を無茶な事をさせる様に縛り付けていたのかと思った。
何事にも力を抜けない彼の性格を知っていた癖に手を抜くなだなんて…酷い言葉だ。





「無茶ってのは酷く言えば人に迷惑をかける事で全力投球ってのは一生懸命力を出して人を支える事だと俺は思ってる」

「………」

「勿論ダメ教師のいう言葉だからお前が間違ってると思えば間違いかもしれないけどな」

「先生はダメ教師……なんかじゃない」






そう土方は一度も銀八をダメ教師などとは思った事が無い。
自堕落で普段やる気さえ感じられない男ではあるが彼の教えにはしっかりとした一本の筋が通っているのだ。
だから土方はダメ教師とは一度も思った事が無い。






「俺は……無茶してた」

「……」





近藤さんに投球数を減らせと言われても大丈夫だと増やしたり総悟に寝不足の奴は早く帰れと言われた時も一人夜遅くまで練習してた思い返せば我が身を案じる声をずっとかけられていた。
その声に耳を貸す事なく今日まで膨大な練習をして挙げ句の果てには熱中症で倒れてしまった。






「土方、お前は銀魂高校のエースだろうがお前が使いものにならなくなったらチームはどうなるよ?」

「……」

「投手はお前一人だけじゃねェし試合は勝つかもしんねェ……でもお前の試合は其処で終わりだろうがよ」





夏の大会……高校三年の今、土方にとってはラストの大会となる。
近藤や沖田含む三年は全員ラストの大会だ。



「お前の体はお前のモンだけじゃねェんだよ。それだけは分かっておけ」

「はい」




暴走した自分をしっかりと正してくれる彼を土方は再度好きだと痛感する。
彼の笑顔を一番近くで見たい。
自分が頑張る所も一番近くで見て貰いたいとも強く思った。




「先生、俺が無茶しないように準決勝は観に来て下さい」

「うぉ…お前が敬語だとなんか落ち着かねェ」

「絶対に…絶対に観に来てくれ」



土方はそう言うと祈る様に銀八の手を握りしめる。
するとしょうがねェなと言う返事が照れくさそうな笑顔と共に返されたのであった。








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■関東地区予選準決勝開始致します■







とアナウンスが流れいよいよ決勝選へ向けた最後の試合が開始される。
天気も快晴でまさに絶好の試合日和となった。





「よし、気合い入れて絶対に勝つぞ!!」

【おう!!】


キャプテンである土方の掛け声と共に野球部員全員が声を出す。



「絶対優勝して甲子園出場するぞお!!」

【おお!!】


しかっりと揃ったハリのある生徒たちの声に応援団と一緒にスタンドにいた銀八までもが緊張し始める。
久々に味わう緊張感にとても喋る所ではなさそうだ。


「では、各自のポジションについて下さい」


審判の声で銀魂高校も相手のチームも各自のポジションにつく。
先攻は銀魂高校の攻撃からとなった。


「一番バッターサード沖田君」
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