3Z置き場
□全国大会-さらば碧き面影-
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余りの即答に土方は多少と言うかかなりこたえたが此処でめげるくらいなら最初から男に恋心など抱かない。
ましてや三年間も片思いなどしていない。と思った。
入学式で彼を見かけた時から土方は思いを寄せていた。
俗に言う一目惚れと言うやつだ。
「何でだよ?俺の事が嫌いなのかよ?」
「嫌いじゃねェけど俺はノーマルだから男は考えられねぇしましてやお前は俺の生徒だぞ?眼中にねーよ」
「・・・・・っく、俺だってノーマルに決まってんだろーが」
「じゃあ女の子と付き合えば良いだろ」
「ノーマルだけど俺は銀八アンタが好きなんだ変わりなんて考えられるかよ」
他の女をこの男の変わりに出来るものならとっくの昔にしてると土方は思った。
「話がソレだけなら俺は仕事に戻るから」
「テメェ…こんな時ばっか真面目になんじゃねェ」
「こんな時だからなるんだよ…今までのツケが貯まってマジヤベェのよ」
チラリと教室の方へ視線をおくる銀八の両頬を手で包み込むと土方はキスの出来そうな距離にまで顔を持っていく。
こんな時でも前の男は眉一つ動かさない。
彼の心が土方の一言一言や動作に全く動かされていない事が分かる。
「何?お前先生とチューでもしたいの?」
「……今のアンタとはしない」
「だったら離せや」
「俺はアンタが好きだ。絶対ェに地区予選に勝ってアンタを甲子園に連れて行くからな」
「だから俺は顧問じゃねェって」
「じゃあソレだけだから」
「ちょっオマッ言い逃げかよ!?」
土方は後ろから聞こえる銀八の声に振り返ること無く歩き出すのだった。
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結局は土方の言い逃げに終わった昨日の出来事。
銀八は現実逃避をしたくなった。
土方は容姿端麗で成績優秀その上野球部キャプテンと将来有望な我が生徒だ。
そんな彼が何故自分なんかを好きなのかが銀八は分からない。
授業中も熱視線おくる土方。
その熱視線に気付かぬフリを続ける銀八。
ソレは今日とて同じ事。
「……ったく俺は断ったっつーの」
教室の戸締りをしつつグランドへ目をやると今日も元気よく野球部が練習をしていた。
どうやら一・二年対三年の対抗戦らしい。
先程聞こえた軽快な金属音は土方が打ったものらしく三塁ベースに居る。
土方がホームインをすれば三年生チームにまた一点が追加される。
4回表9対0の圧倒的点差。
「そう言やあウチって野球部強かったんだっけ」
銀魂高校は関東地区でも片手で数えられる程の野球の名門校だ。
土方も野球部の推薦で銀魂高校に通っている一人。
勿論彼の場合は学力もプラスされた完璧な生徒だが。
「次のバッターが打てば確実にアイツは入るな」
三年生チーム、次のバッターは近藤勲。