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□お祭りと硝子玉
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幸政でシリアス
政宗視点


<ああ、愛してた>



もうここに来る事は無いかも知れないと、早朝からやって来てそう言った彼は、笑っていた。


武田史上、類を見ない苦しい戦が続いている。


連日続きのそれに皆疲れている、誰もが早く終わらせたくてたまらないと思っている、そして、終わらせる事が出来るのは、自分だけでもある。


だから、もしかしたらと穏やかな笑顔で。


コイツが優しい事を知っている、生半可なく強い事も知っている。


そして、辛い病にかかった事も、知っている。


安静にして、助かるかもしれないという砂粒の様な希望にすがって生きる事もできたけれど、そんなのつまらないでしょう。


だから、某は死ぬまで戦いまする。


お前に、もう少しすれば自分の命の灯火は消えてしまうと言われた時にしゃくりあげて泣いた俺の頭を撫でながら囁いたその決意の声を、俺はきっと死んでも忘れない。


だから。


「派手に、散ってこい。」
(愛してた、幸村。)


返した声は、震えていなかっただろうか。


浮かべた笑顔は、歪んでいなかっただろうか。


「ええ、もちろんにござる」
(愛していました、政宗殿。)


(ああ、涙が伝って笑顔の上を滑っていった事、貴方は気づいていただろうか?)




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