short

□お祭りと硝子玉
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甘めの佐→←政
佐助視点




<窓際の幸せ>




5時間目は、数学だった。


数学、一番暇な科目だ。


自分で言うのもなんだけど俺は頭は良い方だから、数学に限定せず、頭を使うものは大抵暇なんだけど。


こんな時は2時間目の席替えと、偶然当たった窓際の最後列であれる事に、つくづく感謝しなければならない。


外をぼんやり眺めたり寝たりも出来るし、天気のいい日は他のクラスの体育を見たりもできる。


そして今、まさに天気は快晴だ。


そう言えば昼休みに遊びにやって来た慶次が、俺ら次体育なんだと笑っていたのを思い出す。


失敗でもすれば後でからかってやろうと思いつつ校庭を見ていると、やがてポツポツと人が現れ始めた。

どうやら、サッカーを選んだ奴等らしい。


慶次も混じっている。


その横には…


(あれ?)


竜の旦那がいた。


意外だ。


あの人はサッカーよりも剣道の方を選択すると思っていたから。


でも、逆にラッキーだ。


誰にも言った事は無いけれど、俺は竜の旦那を好いている。


いつからかはもう、忘れてしまったけれど。


ふと慶次が笑って、竜の旦那の肩を叩いた。


準備運動をしていた竜の旦那は、不思議そうに慶次の方を見て首を傾げる。


あーもう、可愛い。

慶次の事ばっか見てないで、俺様の方も見てよ。


机に頬杖をついて内心呟いた瞬間。


ばっと勢い良く、竜の旦那が俺の方を見上げた。


遠目からにもばっちり目が合ったのが分かる。


…うわ、何かめちゃめちゃ嬉しいんだけど。


にやけそうになるのを必死に耐えて、ニコッと笑いかけ小さく手をふる。


瞬間、竜の旦那はこれでもかと言う位に赤面し、突然何かを振り切る様に校庭の真ん中に向かって走り出してしまった。


慶次はと言えば、俺の方を向いてぐっと親指を立てたかと思うと、竜の旦那の後を追いかけ横に並び、何事か話しながら笑っている。


後ろを向いて決してこちらを見まいと走る竜の旦那の一連の態度に、…もしや、これって…と浮かんだ言葉を。


「…まさか、なあ」


その続きはどうしても口に出せなくて、俺はもう全身真っ赤になって机に伏せるしか無かった。



fin


あとがき

初佐政でした。
佐助のキャラは好きだけどイマイチ掴みきれてないですね…(/_・、)
精進しますっ!!



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