short

□それはホントの愛だった
4ページ/5ページ




「あの大雨の日に、放課後一人で校庭に突っ立ってたあんた見て、ちょっと興味湧いて、んで遊びのつもりで告って、つきあって。」


飽きたら直ぐに、捨てるつもりだったのに。


クスリ、と笑う幸村の表情が艶めいて、すうっと妖しく細められた黄玉の瞳が俺を静かに見つめる。


「すごくマジメに、愛しちゃってんだもんなぁ。」


ポツリと吐かれたその本音は、深く甘美な響きの内に、過去への安堵と未来への不安、出逢えた事に対する歓喜と変えられない愛への緩やかな悲哀、相反する想いを数え切れない程に宿して、俺の中に降って来たから。


「Don't worry。きっと俺の方が、あんたを愛しているからさ」


お前だけじゃねえよって、そう笑って、キスをした。






それはホントの愛だった
(ああ いつのまにか)(こんなにも君が好き)



,
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]