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□それはホントの愛だった
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「あの大雨の日に、放課後一人で校庭に突っ立ってたあんた見て、ちょっと興味湧いて、んで遊びのつもりで告って、つきあって。」
飽きたら直ぐに、捨てるつもりだったのに。
クスリ、と笑う幸村の表情が艶めいて、すうっと妖しく細められた黄玉の瞳が俺を静かに見つめる。
「すごくマジメに、愛しちゃってんだもんなぁ。」
ポツリと吐かれたその本音は、深く甘美な響きの内に、過去への安堵と未来への不安、出逢えた事に対する歓喜と変えられない愛への緩やかな悲哀、相反する想いを数え切れない程に宿して、俺の中に降って来たから。
「Don't worry。きっと俺の方が、あんたを愛しているからさ」
お前だけじゃねえよって、そう笑って、キスをした。
それはホントの愛だった
(ああ いつのまにか)(こんなにも君が好き)
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