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□それはホントの愛だった
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「…政宗殿。」
ふと、耳朶を舐め上げる様な、低い声がした。
目を開けると、白の味気ない天井を背景に栗色の髪が視界に映り込んでいて。
首筋に触れる吐息とその風景から、幸村が俺の肩に顔を寄せているのだと知れた。
「…何だよ。」
「何、考えていたのでござるか?」
「なんにも」
「嘘つき」
少しだけ面白くなさそうにそう言って、ペロリと首筋を舐める。
突然の刺激と、バレた嘘への罪悪感に、俺は思わずピクリと身を竦ませた。
「…正直に言って下され」
また、ペロリ。
犬か、お前は。
「最初は遊びのつもりだった気がするなって、思ってた。」
黙ってても仕方の無さそうな雰囲気だったので、ポツリとそう、口にする。
ほんとはもっと色んな事を考えていたけれど、長くなるのでハブいた。
主語も何も無いその言葉の意味を、それでも幸村は理解していたらしい。
何が、と聞くわけでも無く、代わりにといった様に、カプリ、俺の首筋に噛みついて吸い上げると口を離し、喉の奥で笑った。
てっきり怒られるかと思っていたから、その反応を、少し意外に思う。
「某も、でござるよ。実はね。」
体勢を少しだけ起こして、俺の額と自分の額を触れ合わせた状態で、幸村はそう言った。
まるで、可笑しくてたまらない、といった風に。
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