S-Story

□Prisoner
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 「っ……あ、あ!ぁっ、やぁっ…!」
 「いや?嘘をつくな。お前自身、こんなになってるのに、本当にいやか?ん?」
 「あぁっ!ゃ、そこはっ……あぁん」

 グチュグチュと卑猥な水音が激しくなり、耳を覆いたくなるような甘ったるい嬌声が響く。
 板倉さんが、しつこく俺自身の先端を弄りながらも激しく挿入を繰り返し、俺は声が枯れるほどに鳴き続ける。

 この時間は、自分がただの獣になりさがる時間だ。

 「んんっ――ぁ、はっ…ぁ、ああん!」
 「くくっ…こんなに感じて……お前は、男なしじゃいられないんだろう?ん?」

 生暖かい吐息を耳に吹き掛けられ、耳の裏に何度も板倉さんの唇が触れる。その度に、悪寒にも似たぞわりという感覚が身体を走った。


 これが、快感なのだろうか。

 こんな行為を、本当は求めてはいない。
 セックスをすることで擦り切れていく精神……満たされるはずの行為は、俺にとって精神の摩耗でしかない。
 知らないヤツと体を重ねる度に虚しくなる。わけのわからない罪悪感に苛まれ、自己嫌悪する。


 俺は、汚い。
 こんな俺は、香坂さんに相応しくない。
 こんな俺は…。
「あっ…あぁっ…」


 容赦なく突き上げられる感覚に、沈んでいく……。
 何も考えられなくなるほどに。
 何も考えなくてもいい、闇の中に沈んいく……。


 香坂さんのことを考える余裕がなくなるくらいにまで。

 深く、深く……。

 沈んでいけたらいいのに。

 それでも、俺は。
 闇の底からアナタを想ってしまう。それくらいは、許して欲しい。

 汚れきった俺の身体だけれど。
 気持ちだけは、本当だから。

 傍にいられるだけで十分だから。


 アナタを想ってしまう、俺を許してください。


 何度も体を突き上げられる衝撃に、目を閉じてこたえながら、俺は願った。
 身勝手で、一方的な願いとは知りながら、願わずにはいられなかった。
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