S-Story
□ファイアウォール
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「でも、会長と副会長って並ぶと凄い光景になりますよねぇ」
「え――」
緊張をはらんでいく空気を全く意に介さず、書記の浮竹清(ウキタケキヨシ)がマイペースな発言をする。
俺はというと、どんな反応すべきか迷ってしまい、言葉に詰まってしまう。
「まぁ、ある意味二人とも最強に美形ですからね……ある意味、目に毒かもしれませんね……」
「祐希ちゃんもそう思う?全然タイプは違うけど、凄くいい感じだよね」
にこにこと笑いあってソファで書類の整理をしている二人は、チラリと俺たちに視線をやるとまた意味ありげに笑いあう。
「ちょ…二人とも何言って…」
「あはは、副会長照れちゃって!可愛い!」
「っ――照れるかっ!」
今までにないからかいに、どういった反応をすればいいかわからず、怒鳴るように否定する。
その俺の反応に、二人は目を丸くしたがすぐにくすくすと含み笑いになるのが解せない。
あの祐希までもそうなるのだから、俺の不快感はさらに煽られる。
苛々としながら、チラリと龍大を盗み見るとじっとこちらを見つめてくる龍大と目が合い、一瞬心臓が止まりそうになる。
「なっ――なんですか…?」
「……別に…なんでもねぇよ」
ふいっと視線を反らせると龍大は仕事に戻っていく。
何でもない、といいつつも冷めたような視線はどこか不満げに見えて、納得することができない。
「あ〜ぁ、龍大ご機嫌斜めだ」
「――清、うるさいぞ。仕事しろ」
「龍大に言われるとは!やってらんないよぉ……」