怖い話


□海
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この話は、確か怖い話の本に書いてあった‥‥と思います。

確か、昭和30(1955年)年7月。
三重県津市中河原海岸で地元中学の女子生徒の36人が集団水死してしまう前代未聞の事件が起こったんです。

でも、事故当日の天気は快晴。多少波は高くても、湾中の遠浅の浜辺は、水泳部の練習には、もってこいの場所で、女生徒達は来るべき水泳大会に向けて、特訓をしていたんです。

午前10時頃、異変は起きました。
海岸から50メートル程の付近で、大波がいきなり生徒達を飲み込んだのです。
海中に沈んだ45人の内、無事に救助されたのは、わずかに9人。
奇跡的に救助された生存者の数名が、信じがたい証言を言った事から事件の様相は一変しました。

生存者の一人が言うには、泳いでいた同級生が次々と波間に姿を消していった時の事です。
「‥‥得体の知れない黒い塊がユラユラと近づいてきて、次の瞬間、冷たい人の手が逃げようとする私の足をギュッと掴み、暗い海に引きずり込もうとした‥‥‥」っと‥‥‥
暗い塊、それは、防空頭巾を被り、モンペを履いた何十人という女達だったのです。

警察は、最終的に突発的な海難事故との結論を出しました。
しかし、どうしても不可能だったのは、複数の遺体の足首に何かに強く握られたような鬱血痕が残っていた事でした。


一年後、同海岸には被害者達を供養する為に「海の守りの女神像」が建てられました。
またそれ以来、毎年この地方には、潮干狩りや海水浴客が訪れても、この海岸の辺りで遊泳する人はいなくなって、現在では遊泳禁止となっている見たいです。









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