12/25の日記

23:26
愛しいきもち Merry Christmas
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「佐助・・」

「何っ!!」

「あー・・。・・すまなかった。」

あのまま玄関先で小十郎さんに襲われて、その後風呂でも襲われて、やっとベッドに辿り着いたと思えばまた襲われて・・。
そのまま眠ってしまったようで、気付けば時刻はもう出勤しなければならない時刻で。

「俺、夜勤明けなんですけど!」

「だから謝っているだろう。」

「あんな何回も襲って・・」

「襲う?・・お前だって気持ち良さそうに『もっと』って・・」

「わーーっ!!黙れ!」

確かに・・確かに途中からは自分でも恥ずかしい事を言った気がする、いや、言った。
でも、小十郎さんが悪いんだ。
あんな人混みで抱き締められてキスなんてされれば、正常な思考なんて出来なくなっちまう。

「腰、いてぇ・・」

手を伸ばし、自分の着替えをかき集める。
これから仕事なのに、この身体で大丈夫だろうか。

「佐助。」

後ろから優しい声で呼ばれるも、すぐに振り向くのは癪にさわる。
だから、ここはあえて無視だ。

「あー・・メシ食ってねぇや・・」

思い出した途端にグゥと腹が鳴った。
食べている時間は、もう無い。

「佐助?」

本当に小十郎さんは狡いと思う。

「佐助。」

無視を決め込もうとしてたのに、そんなに優しく呼ばれたら、振り向かないこっちが悪いみたいじゃないか。

「佐助!」

そうやって振り向くように仕向けるなんて、本当に狡い。

「もう・・・なんだよっ!!」

ガバリと起き上がり、ほんの少しだけ残った怒りを乗せて振り向けば、

「Merry Christmas」

赤いリボンが付いた包みを持って、小十郎さんがこちらを見ていた。

「気に入るかどうか判んねぇが、お前の好みを考えて選んだつもりだ。」

「・・うん」

「もし良かったら、使ってくれ。」

「あ・・りがと」

手渡されたそれを見つめていれば、「そう言えば・・」と、小十郎さんは鞄の中を漁り出した。

「あんなこともあったしなぁ、まだ開けてねぇんだ。」

取り出したのは、朝、自分が渡したプレセント。
まぁ、一緒に眠りこけていたのだから、しょうがない。

「あんまり高価なものじゃないよ?」

「お前から貰えたのなら、何でも嬉しい。」

「ねぇ、俺も開けていい?」

愛を確かめ合った・・というには少し強引だったけど、そのベッドの上で、お互いのプレゼントの包みを開ける。
高級レストランでディナーなんてガラじゃない。
だからこんなクリスマスデートがお似合いだけど、ぐちゃぐちゃなシーツの上でなんて、なんて色気も無いんだろうと、何だか可笑しくなってクスリと笑みが零れた。

綺麗なラッピングをほどけば、中から柔らかい手触りのモノが現れる。

「手袋・・。」

全てが露になったとき、ああ、まずい・・という思いが頭を過った。
隣を見れば、同じようにこちらを見ている。

「被っちゃったね。」

「ああ、被ったな。」

そして、互いの手袋を並べて苦笑した。

「いつも手ぇ寒そうにしてるだろ。」

「それは小十郎さんだってそうでしょ?」

「これで、ポケットから手ぇ出るな。」

「え?」

「これで、寒くても手ぇ繋げるって事だ。」

「ちょっ・・何それ。何考えてんの、おばかさんっ!」






・・「24日の夜、空いてるか?」
「ごめん、仕事なんだ。やっぱその日はみんな休みたいみたいでさ。」
・・「そうか。だったら25日は・・」
「ごめん。クリスマスのもの片付けなきゃいけないんだ。」
・・「そうか。」
「ごめんね。」
・・「体、無理するなよ。」
「うん。小十郎さんもね。」
・・「愛してる。」
「俺も・・愛してる」








「今日、会えて良かった。小十郎さん。」

「ああ、俺もだ。佐助」


Merry Christmas!!




END

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15:05
二人きりの Merry Christmas
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薄暗い玄関に鍵の掛かる音が響く。
もう人目を気にする必要は無い。
ぐいと腰を引き寄せ、濃厚なキスを仕掛ければ、甘い匂いが俺の鼻を擽った。

「甘い・・」

「ん・・、ごめん・・お腹空いちゃって・・へへ・・」

そういえば先程、自分のバッグを漁り、飴を見つけては口に放り込んでいた。
そのパッケージには色とりどりのフルーツの絵が描いてあった。
きっと急いで来たのだろう。少し早く仕事を上がったと言っていれば朝メシもまだなはず。
そこまでしてプレゼントを渡しに来たなどと聞けば、繋がりたい気持ちは募るばかりだ。

「”終わったら”メシ食わせてやる。こんなモンに邪魔はさせねぇ。」

「何っ・・んんっ!!」

唐突に口内に侵入したせいで、カツンと歯と歯が当たり、佐助の体が一瞬強張った。

「こいつが・・邪魔なんだ」

この甘い香りの原因。一粒の小さな欠片を舌で掬い取り、自分の口内でガリリと噛み砕いた。

「あー・・もったいない。」

「お前を味わうのに邪魔なんだよ。」

「いい匂いして、いいじゃん」

「お前の匂いの方がいい」

「なにそれ・・おばかさん」

クスリと笑う佐助の表情は艶かしい。
そして電話越しではない、その生の声と相まって、俺自身の熱が上がる。

「ダメだ・・我慢できねぇ!」

そして佐助のベルトに手をかけた。「待って!」と聞こえたが、(そんなもん、待てるわけがねぇ)と心の中で呟いて、俺はそのまま佐助を押し倒した。

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10:40
二人が出会った Merry Christmas
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「小十郎さん!」

改札を通ったすぐそこに、人混みに紛れて愛しい恋人の姿があった。

はにかみながら

「メリークリスマス」

とプレゼントを渡される。

「ごめんね、仕事行かなきゃね」

そう言って立ち去ろうとするその腕を掴み、

プレゼント持ってくりゃ良かったと思いつつ、

引き寄せ、

そしてキスをした。

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09:19
もう一つの Merry Christmas
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Xmasの朝、改札の前で彼の到着を待つ。
出勤する人の波に負けないように足に力を入れた。
昨夜は恋人よりも仕事を取った。
店長を任されてるからには苦痛の選択。

携帯が鳴り

『お疲れ様』

1言だけのメールが届く。

彼がこの改札を通るまであと少し。
俺はプレゼントの入った包みをギュッと抱きしめた。

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09:17
Merry Christmas
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Xmasの朝を俺は一人で迎えた。
通勤電車に揺られるも、いつもより空いている感じがするのは気のせいか。

昨晩、恋人は朝まで仕事だと言っていた。だったら25日と提案すれば

「ごめんね、その日も仕事なんだ…」

申し訳なさそうに謝る恋人。
俺は携帯を取り出し

『お疲れ様』

と1言だけのメールを送った。

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