BASARA話
□さくらさくら
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先頭を行く主達の後ろを、俺達は付いていく。
「真田のはしゃぎっぷりは・・まるで小学生だな」
桜を見上げたり、露店に目を奪われたり。
顔を向ける度、旦那の後ろ髪はひょこひょこ揺れた。
「独眼竜が来るの、楽しみにしてたもん。・・って、ちょっ、腰に手ぇ回してるしっ!」
「まぁ、許してやってくれ、佐助。」
ふわりと笑むその顔は、きっと主への労いの気持ちも含んでいるんだろう。
確かに、主従共々、無理をしてもらったと思う。
一層深くなっている眉間に寄ったシワが、それを物語っていた。
「寝不足気味の顔。・・仕事、無理したでしょ。」
「まぁ・・な。」
「ありがとね。」
久々の会瀬。そんな会話を交わしながら歩けば、見事に咲き誇った桜などは二の次で。
「ねぇ。桜、見てる?」
「いや。お前を見てる方がいい。」
「上田に来た意味無いじゃん。」
「お前に会えただけでも、十分に来た意味はある。」
「・・お馬鹿さん。」
そしてゆっくりと指先同士を絡ませて、時折優しく撫でられた。
「ん・・珍しい、小十郎さんが人前で触れてくれるなんて。」
「桜の妖気に当てられたかもしれねぇなぁ。」
そして気付く。
「あ、あれ??旦那達、どこ行った?」
「・・・はぐれちまったか。」