BASARA話
□うそ・ほんと
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ぽっかりと空いてしまった休日。
予定していた起床時間をとうに過ぎて、ベッドから抜け出した。
コンビニとファストフードのバイトを掛け持つ俺様としては、久々の丸1日の休暇、それも日曜日!!
「折角デートの約束してたのになぁ。」
早朝、取引先から急遽会いたいとの連絡が入ったそうで、そこは営業成績bPの俺様の恋人、片倉小十郎は逃すわけもなく、早々に取引先に出掛けていった。
仕事している姿がかっこ良くて惚れたのだけれど・・
「俺より仕事取っちゃう?」
そんな言葉がポツリと漏れて、
「おっと、女々しい台詞は無し、無し!」
彼の営業成績が伸びますように、と、カーテンを開け、晴れ渡った空に願った。
◇◆◇
「俺様、実は忍者の末裔なんでーす、ってのはどうよ?」
トントンと小気味良い音を響かせ、葱を刻む。
今日スーパーで買った味噌は、偶然にも宮城産の味噌だった。
グリルを開ければ、香ばしく焼けた、魚が2匹。
「えーっと・・えーっと、あと、あの人が信じそうな嘘って・・?」
そんな事を考えながら用意した食事は、焼き魚がメインの栄養たっぷり純和食。
最近忙しいそうだったから、きっと外食ばかりだったに違いない。
『7時には帰る』
短いメールが届いたのはちょうど1時間前。
時計を見れば、もうすぐ7時。
もうそろそろ、愛しい恋人は帰宅するはずだ。
つけっぱなしのTVは、ファミリー向けのアニメ番組が流れていた。
帰ってくる、はずだったのに・・・
「まだかなー・・」
すっかり冷めた料理。
ぐぅと鳴る腹の虫。
7時には帰宅するはずだった恋人は、10時を回っても音沙汰無し。
「先に食べちゃおっかな!」
若干の怒りに任せてご飯をよそい、一人、席に着く。
ーーー今日の夕飯はありません!
食べ終わった食器を見せて、そう言ってやろうか?
そんな嘘が頭に浮かんだ、午後11時。