BASARA話 

□うそ・ほんと
2ページ/3ページ

ぽっかりと空いてしまった休日。
予定していた起床時間をとうに過ぎて、ベッドから抜け出した。
コンビニとファストフードのバイトを掛け持つ俺様としては、久々の丸1日の休暇、それも日曜日!!

「折角デートの約束してたのになぁ。」

早朝、取引先から急遽会いたいとの連絡が入ったそうで、そこは営業成績bPの俺様の恋人、片倉小十郎は逃すわけもなく、早々に取引先に出掛けていった。
仕事している姿がかっこ良くて惚れたのだけれど・・

「俺より仕事取っちゃう?」

そんな言葉がポツリと漏れて、

「おっと、女々しい台詞は無し、無し!」

彼の営業成績が伸びますように、と、カーテンを開け、晴れ渡った空に願った。


◇◆◇



「俺様、実は忍者の末裔なんでーす、ってのはどうよ?」

トントンと小気味良い音を響かせ、葱を刻む。
今日スーパーで買った味噌は、偶然にも宮城産の味噌だった。
グリルを開ければ、香ばしく焼けた、魚が2匹。

「えーっと・・えーっと、あと、あの人が信じそうな嘘って・・?」

そんな事を考えながら用意した食事は、焼き魚がメインの栄養たっぷり純和食。
最近忙しいそうだったから、きっと外食ばかりだったに違いない。

『7時には帰る』

短いメールが届いたのはちょうど1時間前。
時計を見れば、もうすぐ7時。
もうそろそろ、愛しい恋人は帰宅するはずだ。
つけっぱなしのTVは、ファミリー向けのアニメ番組が流れていた。



帰ってくる、はずだったのに・・・




「まだかなー・・」

すっかり冷めた料理。
ぐぅと鳴る腹の虫。

7時には帰宅するはずだった恋人は、10時を回っても音沙汰無し。

「先に食べちゃおっかな!」

若干の怒りに任せてご飯をよそい、一人、席に着く。



ーーー今日の夕飯はありません!



食べ終わった食器を見せて、そう言ってやろうか?

そんな嘘が頭に浮かんだ、午後11時。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ