BASARA話 

□葱と牛蒡〜Twitter お題より〜
1ページ/4ページ


毎週金曜日の放課後。
みんなの帰りを見送りつつ、独り昇降口で人を待つ。
そしてやってきた白い軽自動車のバン。

「毎度どうも〜。」

人懐っこい笑みを浮かべて車から降りてきたのは、花屋の店員。

「お疲れ様、慶ちゃん。」

「遅くなっちゃって悪ぃね。」

そう言いながら車の後ろに回り荷台を開ける。
ふわりと香る花の香り。
清々しさを感じながら、新聞紙に包まれた花を下ろすのを手伝った。

「サンキュ、佐助くん。あとこれ、よろしくね。」

下ろし終わり、紙切れを差し出された。手渡されたのは『納品書』

「婆沙羅学園 華道部 前田様」

日付と宛名を確認する。納品書に記された「前田様」は、俺が所属する華道部の顧問、前田 まつ先生。
そして、この「慶ちゃん」こと、前田慶次のおばさんだ。

それから俺と慶ちゃんは、納品書の花の名前と現物を照らし合わせる。

「これが・・・、こっちが・・・・で、あとこれが・・」

「葱坊主!」

「あはは、そうそう、「花葱」。正式名はギガンジュームね。」

教えてもらった花の特徴を忘れないように納品書にメモする。
後で部員に説明するために。

「それと、これはオマケ!!」

ニシシ、とふざけた笑みで手渡された包み。
覗けば一輪の花がくるまっていた。
紫色で、なんだか刺々しい。

「何?この花。」

「なんだと思う?」

「さぁ、今までの花材にはなかったよな。」

考え込んでいると、するりと手からそれを引き抜かれた。

「・・・牛蒡だよ。牛蒡の花。」

「牛蒡?・・野菜の?」

「そう。珍しいだろ?葱とくれば、牛蒡だろ。・・おもしれーと思って。」

何でも商店街へ配達にいった際、八百屋から貰ったのだと言う。

「花言葉、知ってる?」

俺は首を横に振った。

「マツ姉ちゃんに渡してくんない?きっと姉ちゃんなら解るから。」

何か意味深だなと思ったが、わかった、と返事をした。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ