BASARA話
□奥州一の強き者
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奥州の民に
『奥州一の強き者は誰ぞ』
と問えば、十中百区、
『独眼竜』
と答えが返ってくるだろう。
魔王も倒し、力で治めようとした秀吉も倒した『独眼竜』。
そう思われて、当然だ。
しかしながら、そうは思っていない者もおるようで・・・
【奥州一の強き者】
パァァァン・・・
竹刀の弾かれた音が庭先に響く。
「さぁ、政宗様。この勝負、小十郎が勝ちました故、お約束通り政務をこなしていただきとうございます。」
「Shit!!」
町に出たい、と小十郎に伝えたのが少し前。
山積みになった書簡を見つめ、小十郎の出した結論は
『この小十郎に勝てたなら、ご自由に。』
そしてこの結果である。
「なぁ、小十郎。」
今だ痺れる手のひらを見つめつつ、従者の名を呼べば、主の傍らに膝まづき、頭を下げた。
「お前は奥州一の強者だな。」
「は?」
「この独眼竜を負かしちまうんだぜ?」
はは、と苦笑混じりにそう言えば、
「政宗様は政務が滞っているという後ろめたい気持ちがあるからでございましょう。」
この従者、実に痛いところを突いてくる。
「僭越ながら、この小十郎。ただただ政宗様に、政務をこなしていただきたいという一途な思いなればこそ・・・」
ああ、この口うるさい従者の『小言』が始まった・・と、政宗はこっそり溜め息をついた。
(It is different! 小十郎。)
空を仰げば燕が、すい、と、通りすぎるのが見えた。
実は政宗は、元より政務をこなすべく準備はしていたのだ。
ただ・・・
(剣を構えた時の、お前の顔が見たくなっただけだ・・なんて言ったらどう思う?)
見惚れていたら、隙を突かれて竹刀を弾かれた。
思いだせば、ついつい口許が緩んで弧を描く。
「聞いておいでか!!政宗様!!」
バチリ、
雷を纏った従者が吠える。
独眼竜を腑抜けにさせた、この右目。
これこそ、奥州一の強者だと
軒下の燕は、
旅先で伝えてまわるのだろうか?
END
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初の政小!!!すみませn、なんか、甘くも無ければ、辛くも無い・・・
小十郎が大好きなんですよ!(管理人が。)