BASARA話 

□定休日
3ページ/6ページ

初めての来店から数ヶ月空けて再びcafe BASARAの名前が登場し、それは次第に規則的に現れるようになっていった。


季節は秋


『差し入れにマカロンを持って行った。』

(ああ、あの七色のマカロンか。)


『片倉さんが新しく仕入れたコーヒーをテイスティングさせてくれた!これにはタルトタタンが絶対合う!』

そのページにはそのケーキのスケッチとレシピが細かく書かれており

(確かこのケーキを持ってきて熱弁を振るっていたな。)


懐かしさに思わずクスリと笑みが溢れた。

その内

『小十郎←片倉さんのなまえ』

『甘いものだめらしい;』

『きょうは家庭菜園の話をした』

ケーキとコーヒーのメモの内容に、小十郎の話が加わってゆく。

(この頃のあいつ、毎週来てたよな・・・)

記憶の中では夏ごろ。
店の窓際に座り、派手な髪色と服装から、この店内では目立つ風貌だった。
初めは大学生だと思っていた。
少しずつ話しをするようになり、ケーキが好きなのか?と問えば、自分はパティシエだと言った。働いている店の名を聞いたら、よくメディアに取り上げられる店名を言ったので、驚いた記憶がある。
そして秋にはカウンターに席をとるようになり、打ち解けて話しをする頃には、常連のお客様からも慕われる様になっていた。

(俺も・・・あいつが来るのが楽しみだったんだ。)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ