BASARA話 

□定休日
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火曜日

Cafe BASARA 定休日


暖かな昼下がり、ソファーでのうたた寝から起きれば、時計は午後3時を指そうとしている。しんと静まり返ったリビングに寂しさを覚え、つい「佐助?」と恋人の名を呼んでみたが、返事はない。

一緒に暮らすようになり数週間。
独りが当たり前だった毎週火曜日は、すでに遠い過去のようだった。
毎日厨房と店内で奮闘する恋人の姿を思い出せば、余計に寂しさが募る。
それでも、いつも外出の時に着ているジャケットは椅子の背に掛けられたままなので、この家のどこかにはいるだろう。差し詰、厨房だろうかと、自宅と店舗を繋ぐ階段を降りた。


「どこに行ったんだ?」


いると思っていた厨房は、しんと静まり返っており、そのまま厨房から直接店内へと通じるドアを開ければ、全て閉めてあるはずのカーテンの一つが開いていることに気がついた。
窓からは西日が差し込んでおり、すぐ横にあるテーブルを照らしている。
そこに積まれた数冊のノート。
いつも厨房の片隅に置かれている、佐助のノートだ。

(一体どこへ・・・)

その時


「あ、小十郎さん、起きたんだ?」

「!!」

急に声をかけられて、驚いて振り向けばカウンターの中に探していた恋人の姿。

「ごめん、驚いた?」

謝りながらも、くすくす笑う佐助の手には卵と牛乳。

「ワッフル作るからさ、休憩にしない?」

「そうすると俺は休みっぱなしになるな。」

「いいじゃん、普段忙しいんだから。」

そういいながら、ボウルに材料を入れていく。

「仕事、してたのか?」

「んー、仕事っていうか・・・。これから初夏にかけての涼しい感じのお菓子作ろっかなーって。」

そして、そこのノート見てみて?と、テーブルを指差した。
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