BASARA話
□願い事
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暗闇だった筈の視界が、光を捉える。
「あ…れ??」
「ああ、長。やっと目覚められた。」
「才蔵?…あれ??俺、なんで…ここに?」
相変わらず体は動かないので、視線だけを部下に向けた。
―――確か、敵にやられてから山奥のお堂で…
いくら考えを巡らせても、今、むしろの上に寝かされ、手当てされるまでの記憶にたどり着かない。
「なかなか戻られないので探し行ったのですよ。そうしたら、官服部の山のお堂で倒れていたのです。」
「俺様…助かったんだ。」
その時、はぁ、と才蔵が安堵のため息を漏らした。
「見つけた時は驚きました。錯乱の薬にでもやられていたようで、しきりに、助けて助けて、と。」
錯乱ではない事は黙っておきたい。
「しかし本当に良かった。これもあの薬師如来の御加護かもしれませんぞ?」
そして、粥をお持ちします、と言って、才蔵は部屋を出ていった。
「御加護…か。」
後で礼を言いに行こう。
そう思いながら、再び目を閉じた。