BASARA話 

□誓います
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静まり返ったロビーを通り過ぎて、1階突き当たりにある内科診察室。

ドアを開ければ、そこには長椅子が置いてある中待ち合い室で、俺は更に奥へ進む。

知ってるんだ。
午前の診察が終了すれば、医局へ戻らずにこの「処置室」って所でお仕事してるって事。

閉めきったカーテン。

失礼しまーす…と、そうっと開ければ、壁に面した机に向かう、愛しい人の姿。

「今日はどうした?」

ぶっきらぼうに問われるのは、いつもの事。

「……またやっちゃった。」

へへ、と笑えば呆れ顔で振り向かれ、視線は自分の足元へ。

「またか。」

「うん。今日は体育の授業でね。」

捻挫をした。
痛みを我慢して、隣町のこの病院まで来たのだ。

「整形外科が近くにあるだろうが。」

「だって会いたかったんだもん。小十郎さんだって診れるでしょ?」

「ここは内科だぞ。」

そう言いながらも引き出しから湿布と包帯を取り出した。
ここは内科。普通は置いてない物があるのは、小十郎さんが俺のために置いている救急箱の物だから。

足を診るべく膝まづいて、そうっと触れて、軽く動かす。
「骨折はしてねぇみてぇだが、ちゃんと診てもらえよ?」

少し熱を持った患部に氷のうを乗せられた。
ヒヤリとして気持ちがいい。

「こういうのは早めの処置が大事なんだぞ。」

「うん…」

「僅かな異変も整形の専門だったら見逃さないだろうし」

「うん…ごめん。」

「それにな・・・」

小十郎さんが言いたい事はわかるんだ…というか、それが正論なんだって事もわかっている。

でもね。

社会人と高校生。
夜勤や日曜日勤務が多いお医者さん。

なかなか会えないのも事実なんだよ。

こんな時ぐらい…

ダメかなぁ。




きーん、と冷えた足元。
なんだか身体も冷えてきたみたいだ。

「…おい、聞いてるのか?」

「んんっ?なに?」

小十郎は、はぁとため息をつきながら足の具合を診ている。

「鬼庭整形へ電話するか。」

「ちょ…待って、なんでお兄さんとこっ!」

小十郎は佐助の足を自らの膝に乗せて、湿布を貼るべくその袋を開けた。

「聞いてなかったな?」

「すっ、すみませんっ。」

「勿体ねぇなぁ。」

小十郎はくすりと笑った。

「なに?…ねぇ、なんなのさ。」

「聞きてぇか?」

「・・・う・・うん。」

佐助を見た上目遣いのその顔に

(…うわぁ、ソレ反則っ!)

見惚れてしまったなんて小十郎さんには内緒だ。

「次はねぇから、よく聞けよ?
『…将来俺の伴侶となるヤツには、身体を大事に思ってもらいてぇんだ。捻挫一つでも軽くみるんじゃねえぞ。』・・・と、言った。」

「…!!!!」


ニヤリと笑って、


そして




冷した患部に





キスされた。







冷えた足に唇の温もり

「えっ、ちょ…と!!!」

ペタリ

「ああーー!!」

キスは一瞬にして湿布に変わり

「うるせぇなぁ。」

すでに小十郎さんは何食わぬ顔で包帯を巻いている。

「今の…、ねぇ…どゆこと…」

「あぁ?」

心なしか小十郎さんの耳が赤いけど。

「好きに受けとれ。」

俺様だって負けじと真っ赤だ。

「…好きに…受け取っちゃうよ?」





身体、大事にします。
勉強も、がんばります。

将来、小十郎さんの隣にいられるように。
ずっとずっと、愛してもらえるように。






「って事で兄さんの所へ行け。」

「えぇ〜。また説教くらいまくるよ俺様っ」


END?
・・・・・・・・・・・
11月22日に入籍する方とかもいらっしゃると聞いて。
プロポーズ話?

小十郎→内科
綱元→整形外科
喜多→大学病院 看護師長
・・・・かな??

こんなよき日に、こんな駄文すみません。

お読み下さり、ありがとうございましたm(_ _)m

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