BASARA話
□遠く離れた君を想う
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たんっ
草の者からの報告を取るべく、両手で勢いよく襖を開けば、小気味良い音と共に冷たい秋風が入ってきた。
足元には小さな箱。
しかし
漆塗りの上等なもの。
「草じゃねぇ…」
報告書なんかじゃねぇ、
これは…
箱に掛けられた真田紐。
「幸っ!!」
急いで紐を解いたが、蓋を開けて手が止まる。
「なんだこれは。」
油紙の塊が一つ。
塊をそうっと開ければ、次は端布。
端を引けば手のひらでくるくる廻り、終わる頃には紙らしい白い塊が見えてきたが勢い余って手から溢れた。
足元に転がるそれを拾いあげるとフワリと薫る馴じんだ香り。
開ければそこには匂袋が一つと、くるんでいた紙には何か文字が。
「……」
紙を広げる。
そこには一言。
『某の気に入りの香(こう)にござりますれば、どうかお側に』