銀魂 話

□なに見てはねる?
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屯所の長い廊下を歩く。
ギシと床が鳴くのは老朽化か、はたまた敵の侵入を知らせる為か。

途中何人かの隊士に場所を聞いた。

(ここ…か?)

(す、少しドキドキするネ)

灯りが付いている部屋の前にさしかかり、歩みを止めた。

「来たかぃ?」

「……っ!!」

突然中から声を掛けられ、思わずビクリと肩を震わした。

「入りなせぇ」

「………」

無言のまま障子を開ければ、文机に肘をつき、待ちくたびれたという表情。

「古着、どうするアルか。地球防衛軍なら高価買い取りアルよ。」

「地球…?」

沖田はキョトンとした顔をし、そして声をあげて笑った。

「そう捉えちまったか。」
「……?」

そしてクルリと文机に背をむけて、トントンと指先で畳を叩き、部屋へ入るよう合図をする。
部屋には、差し詰め山崎辺りに頼んだのだろう、来客をもてなす用意がされていた。

神楽はソロリと座り、色とりどりの干菓子に目をやった。

「一昨日まで殿様の護衛で京へ行ってたんでさぁ。」

「綺麗…」

そう言って一つ摘まみ、ポイッと口に放り込んだ。

「そういやぁ、この前着てたあの浴衣…」

もう一つ…と手を伸ばした時、沖田が問いかけた。

「姐さんのお下がりだってねぃ?」

「そうネ。アネゴが昔着ていたやつネ」

どれを取るか品定めをしていた指が止まり、一つ摘まみ上げ、また口に放り込む。

「確かに子どもの柄だったなぁ。」

これは言い過ぎか?と、少女の顔色を伺ったが、でも可愛いいヨ…そう言うと、また一つ菓子を口に放り込み、甘いネ…と呟いた。

「じゃあ…」

沖田は言いかけ、文机の横から風呂敷包みを引き寄せ、

「じゃあ来年は…」

それを神楽の前に差し出した。

「これでも着てみるかぃ?」

突然差し出された包みに、菓子を摘まもうと伸ばした手は止まり、青い瞳が沖田を捉えた。
包みと沖田を交互に見やる。
開けてみなせぇ、という沖田は少し困った顔をしていた。
自分はそんな訝しげな顔をしていたかと、慌てて視線を包みに戻した。

シュル…と結び目がほどかれていく。

「これ…浴衣?」

そこには紺地に兎文様が描かれた浴衣が丁寧に畳まれていた。
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