頂き物 【お話】
□.MORNING.
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朝起きたら、いつも隣にいるはずの人がいなかった。
.MORNING.
「あれ?」
起き抜けで、働かない頭で考える。
あぁそうか。ヤッた後に喧嘩して彼は出ていったんだ。
それでオレは、結局ふて寝を敢行したんだ。
携帯にはなんの電話もメールもない。
ああ、朝から最低最悪だ。
もやもやしながら、リビングへと向かう。
すっかり冬の温度になったフローリングは冷たい。
リビングに着くと、香ばしいコーヒーの香りがして、ふいにソファーを見る。
ゆらゆらと、湯気に揺れながら不機嫌そうで気まずそうな小十郎サンと、目がかちあった。
「おはよーございます。」
「ああ、おはよう…」
ていうかなんでいんの。大事な大事な政宗様のとこに帰ったんじゃなかったの?まさか、ソファーで寝たの?寒くなかった?休めないじゃん。身体、痛いよきっと。
聞きたいことがありすぎて、思わず立ち尽くすオレに、彼は無言で視線をソファーの空いたスペースへとやる。
「ありがとーございます…」
コーヒーを入れてくれたことだけ感謝して、隣に座れば、びっくりするぐらい冷たい身体。
風邪引いたらどうするつもり。
迷惑かけるの、嫌いなくせに。
「…ばか。」
「うるせぇ。」
ずずっとコーヒーを啜って、小十郎サンの肩に寄り掛かる。
ああ、小十郎サンの香りがする。
「小十郎サン…」
「あ?」
「…ごめんなさい。」
「…オレこそ、悪かったな。」
喧嘩の詳しい内容なんか覚えてない。きっと、最低にくだらないことだったに違いない。
「…あー、小十郎サン。」
「ん?」
「すき…です。」
「……………俺も、だ。」
「あはは。顔真っ赤。」
朝日が差し込むリビングで、なんだかちょっとロマンチックにキスをした。
朝起きたときに。貴方が隣にいないと不安になるんだよ。
よく、覚えといてよね。言わないけど。
END
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