VitaminX小説

□小悪魔の憂鬱
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ただひたすら歩いていたらいつもバスケしてたストリートに来ていた




「…やっぱカラダは覚えてるってか?」


昔はムシャクシャする度にココでバスケしてたっけ…


今思えば懐かしい限りだナ


ストリートのフェンスにもたれ掛かって空を仰ぐ


我ながらかなりガキクセェとは思う


ンなコトで嫉妬なんてヨ…






オレは卒業してから即アメリカに飛んだ


でも何だかんだでカベのジェットに乗り込んだりしてチョクチョク日本には帰ってきてた


だから他の奴らより悠里と会う機会は多い


つか悠里に会うためだけに帰ってきてンだから当たり前だけどナ


けど、最近は全く会ってなかった…


だから今日会えるってガラにもねェ楽しみにしてたってのにこのザマとは…




「ホントオレは…何してンだろうナ…」


ぽつりとそう呟いたって答えが返ってくるわけでもない


それに色々考えてたら段々怒りが自己嫌悪に変わってきた


そんな自分が半ば嫌になって俯いていたら、ふとどこからか声を掛けられた








「清春くん…」



俯いたままだか声の主は、見なくたって分かる


ずっとオレが待ち焦がれた人間であり、オレをこんな状態にしている張本人だからナ




「…ンだヨ」


と返事をすればこっちに向かって歩いてくる


少し視線を上げてそっちを見れば走って来たのか息が上がっているみてーだった






「急に出て行ってどうしたの?みんなビックリしてたわよ」


「別に…何でもネーシ…」


それっきり会話は止まっちまう


オレはまた何があるわけでもなく空を仰いだ


悠里は何をするわけでもなくただオレを見ていたようだった




だか悠里は急に、オレを頭から抱きしめてきた






「ッ!!…なっナンだヨ!!」


いきなりの行動にビビッて振りほどこうをするがかなりキツく抱きしめられて…いや、羽交い絞められているから身動きがとれない


抵抗すんのもムダだと思ったオレは諦めてされるがままになっていた




しばらくして悠里は腕を緩め、ゆっくり口を開いた


「清春くん、どうしたの?」


「…アァ?」


「いつもの清春くんじゃないわ…もしかして私何かしちゃった?」


悠里を見れば目が合った


そしてオレにどんなにイタズラされようと動じなかったその瞳が、切なげに揺らいでいる


今にも泣きそうな程に


アァ、オレはホント何やってンだろうナ―――






「…チッ」


「清春くん…?」


「……レの、…だろ?」


「…え、」


「オマエは…オレ様の、モンだろ…他の奴らと、仲良くしてンじゃネーヨ…」




言葉一つ搾り出してオレは悠里に思いっきり抱きついた


悠里は一瞬ビビったみてぇだったがすぐにその身をオレに預けた




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