VitaminX小説
□貴女を愛する権利を下さい
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「瞬君、何か欲しい物ある?」
補習中、急に先生にそんなことを言われた
「…いきなり欲しい物なんて言われたって…それにだいたいなんでそんなこと聞くんだ?」
「だって瞬君今日誕生日でしょ?」
とふわりと笑い、だから何かプレゼント出来ないかなって思ってと付け加えて言われた
誕生日。
教室にあったカレンダーに目をやれば今日は11月22日
そうか、今日は俺の誕生日だったのか
正直そんなこと自分だって忘れていた
今まで誰かに誕生日を祝われた記憶なんて…なかったからな
俺の欲しい物――――
そんなもの決まっている
それは先生、貴女自身
俺は許されるなら貴女が欲しい。
でもそんなことを言ったって先生を困らせるだけだと分かっている
仮にも今は『教師』と『生徒』なのだから
「…やっぱり急に言われても困るだけよね。ごめんね?」
「いや、それはいいんだが…それは、その…今すぐじゃないといけないのか?」
「あ。別に今すぐじゃなくても思いついたときに言ってくれればそれでもいいわよ?」
「いつでも…本当か?」
「うん。卒業までに言ってくれればなんでもしちゃうわ!」
どん!と胸を張ってそう言う先生
「本当に何でも…か?」
「うん!あ。ただしあんまり高価なものは駄目よ?私が用意できるものならね」
「なら…4ヶ月」
?というような顔をして俺を見る先生
「あと4ヶ月。待ってくれないか?」
「4ヶ月…?いいけど、どうして?それに何が欲しいの?」
「まぁ、その…4ヶ月後じゃないと意味がないんだ。それに、何かってのも聞かないでもらえると…ありがたい」
まだ意味が分からないという様な顔をしていたが、真剣にそう言う俺を見て何か諭したのか
「分かったわ。瞬君がそこまで言うなら4ヶ月後に教えてね?」
と言った
「あぁ」
と返事をすればと「さ!補習補習…」と笑って補習を再開する先生
…4ヶ月。
4ヶ月後、俺がこの学園を卒業するとき
もしそのときまで貴女がこの約束を覚えていてくれるなら
そのときは俺に――――
貴女を愛する権利を下さい
それまであとほんの少しの辛抱
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なんかハピバの話なのに全く違う方向になってしまった
しかも暗いというか、切ないというか…
瞬には幸せになってもらいたいけど彼には切ない話がよく似合いますね←
2010.12.7