おおきく振りかぶって

□目盛りのない定規
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バッテリーだから、一緒にいるのは普通だと思ってた。
憧れてたし、あの人のわがままに付き合えるのは自分くらいだと思っていたから。

『元希…さん?』

でもこれは、悪戯にしては度が過ぎる。
俺は訳も分からず、目を見開いた。
どうして、こんな事になったのか。
元希さんはわがままで自己中で、俺の事なんて的当てくらいにしか思ってないって、思ってたのに。

…それすらも、届かないのか?

『タカヤ…』

熱を帯びた元希さんの声が耳元で囁かれる。鋭い瞳には情欲の色が灯っていて、それは己に向けられているのだと、嫌でも認めさせられる。獣の目。俺は今、"そういう対象"として、元希さんに見られている。
ぞくり、と、ただ恐怖が襲った。

知らない。
こんな元希さん、知らない。



『…っ!嫌だ、やめて下さい元希さん!』



力じゃ、敵わない。
……知りたく、なかった。



『…ッ、誰か…っ!』



歪んだ視界に映ったのは、

獣の恍惚な笑みだった。










…俺は。

俺はただ。

……元希さんと、ちゃんとしたバッテリーになりたかっただけなのに。











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