おおきく振りかぶって
□ポーカーフェイス
1ページ/3ページ
最近、思う。
「水谷〜、部活、行くよ」
「あっ、はーい。じゃあね、ちょっと待ってて栄口〜」
「待っててやるから早くしなね」
放課後、水谷が部活に遅刻しないように7組に迎えに行くと、わりと可愛い女子と笑顔で話していた。
俺が声をかけると、水谷は一瞬俺を見て、女子に片手を上げるとニコニコとやってきた。
「お待たせっ」
「ん、行こっか」
部室までの道すがら、水谷は絶え間なく口を動かしていた。
本当に楽しそうに、もちろん俺も面白くて笑ってたけど、水谷はそれ以上の何かを放っていた。
例えるなら、人生の絶頂期、みたいな。
そういえば、最近よくあの女子と話してるのをよく見掛ける。
だから最近、思うんだ。
「なぁ、水谷って、あの子と付き合ってるの?」
ほぼ無意識のうちに口から出た言葉に、水谷はちょっと目を見開いた。
かと思うと、急に情けなく顔を綻ばせて、
「あっ、分かる?」
本当に幸せそうに、笑った。
ピシリ、音がした。
→