盆はさすがに部活も休みらしくて、あたしの携帯に真田君から誘いの着信音が高々と鳴った。

10時で良いか、と尋ね
10時で良いよ、と答え
それではまた明日な、と告げ
じゃぁまた明日ね、と繰り返すみたく電話を切って。



pm9:30に熱気は案外無い。
全開の窓から
虫の鳴く声とそれなりの風が同時に入る。

ギシ、と音をたてつつ
あたしはベッドへ転がった。

電話越しの真田君をリピートさせて。


大人味の声が好き。
太くて優しくて
あたしを包んでくれそうな
そんな気がする声が好き。

ワイルドチックな腕が好き。
太くて優しくて
あたしを包んでくれそうな
そんな気がする腕だから。


あぁどうしよう
明日デートなんだ。

付き合って半年
まともなデートは初めてかもしれない。


どうしよう、
どうしよう、

恥ずかしいや。


付き合う前はいつだって
いつのまにか目で追っていた

付き合ってからは
あたしと真田君の物理的な距離が近づいて
新たに生まれた身長差を理由に
まともに彼を見ていない。


どうしよう、
見れないや。

多分きっと、あたしはたこさんウィンナー


そんな明日の
しかも
真田君の顔を近くで見つめた時
自分がどんな反応をするだろうか
なんてことをひたすらに考えては、青くなったり赤くなったりを繰り返していた。



pm10:00にも熱気は無くて
まぁ、30分でいきなり熱気が出るのも困った話だけど。

それでもあたしは
プラス5℃の温度を感じた。

だってこんなにも体が熱いんだから。

それは明らかに
真田君からの二度目の電話


ど、どうしたの!
上擦った声を許してください。

あたしの妄想は
ちょうど見つめた先
視線合わさって
そのまま
決められたラインを辿るように
クチビルとクチビルが引き合ってくちょうどその時だったのです。

「言い忘れていたのだが…」

太くて優しい声の主は
少しその先をためらいながら
でも決心したみたい。

「スカート丈は膝下、それと胸の開いた服は絶対に着てくるな」

事務的
なハズだけど
愛が
いっぱい入ってる

それだけの為にあたしの携帯を鳴らしたのが
ひどく可愛く思えて
胸の奥が熱くなった。



明日はくるぶしまである
長いスカートと
きっちりボタン止まった
ちょっとフリルのシャツで行こう。

明日の風紀検査にひっかからないように。
大好きな委員長の目をひくために。


.


メッセージ頂けたらマジ泣きします



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