銀魂連載 N

□06
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ガラガラガラ

「せんせー 久しぶり」


聞き慣れた声に顔を挙げる

見たかった顔がそこにはある



だが、


「・・・・・その傷どうした?」


唇のすぐ横が赤紫になっていた


「えへへ この間転けちゃってさ・・・」

痛かったんだよねぇ と言いながら擦る


なぁ、それ上手く笑ってるって思ってるつもりか?


気付かないフリをしつつ椅子へ座るように促す


「俺眠いんだけど」

「これ消毒してからな」

「あ」


どうやら消毒することを忘れていたらしい

ため息を漏らしながら物品を揃える


「おら、傷診せな」


綿球を消毒液に浸しながら言うと何故か感心したように


「せんせーそんな事できるんだね」

「舐めてんのか」


できなきゃ保健医なんざ勤まんねーだろが


「だってせんせーがそういう所するの初めて見るもん」


いっつもタバコ吸ってるかコーヒー飲んでるか保健だより作ってるかじゃん

笑うと痛いのか引きつった笑いをしながら言う


「誰も来ねーんだから当たり前だろ」

「通りで俺がいる時に人がいるとこ見たことないんだね」

「お前くらいしか来る奴いねーよ」


天パも時々来るが


「ホント?じゃあいつでも来れるね」


いつでも来れるという言葉に柄にもなく嬉しいと思ってしまった

そんな考えを誤魔化すために雅の顔を逸らせる


「消毒すっからそのままにしろよ」

「はぁい」


頬に手を当て固定してから傷に綿球を付けた


「ぃっ・・・・」


痛いようで眉間に皺を寄せながら肩を竦ませた

大きめの絆創膏を貼る


「終わったぞ」

「ありがと」


物品を片付けながら視線をやる


「さっさとベッドで寝ろ」

「あれ 今日はすんなり」

「・・・・熱あんだろお前」


さっき頬に手を当てた時少し熱かった


「すごーい 保健室のせんせーみたい」

「うるせ」


頭を軽く小突いてから手を洗い氷枕の準備をする

そのようすをじーっと見たままでいる雅


「なんだ?」

「・・・・・せんせー今から暇でしょ?」


決めつけている感じがちょっとムカッとくる

・・・・確かに暇だが


「だとしたら?」


すんなり肯定するのが癪だったため逆に問いかける


すると雅はにこっと笑い





「俺がせんせーに仕事あげる」






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