銀魂連載 M

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雪がちらちらと降り積もるなか


「・・・・・え、ちょ、マジ?ねぇ玲ちゃん、マジでここ?」

「みたいだけど」


目の前にはちょっと古ぼけた真っ黒な建物


「不気味すぎじゃね?ホントにここに泊まるの?」


万事屋ファミリー+お妙は商店街の福引きで温泉旅行が当たったのだ

1等賞の4名様ご招待券と
4等賞の1名様ご招待券が


そしてその旅館の名前は《明光館(メイコウカン)》


「見た目と名前がマッチしてないんだけど。スニーカー履いて逃げ出したいんだけど!」

「まぁまぁ銀さんったら、情けない」

「本当アル ビビりすぎヨ」

「不気味なのは外見だけかもしれませんよ?」

「そーそ。中は普通なんじゃないの?目立たせるためにこんな真っ黒なだけなのかも」

「・・・・・それならいいんですけどぉ」


渋々といった感じだが扉へ歩を進める

無料なんだから少しは我慢するべきだろう


「すみませーん」


大きめの声で中へ呼びかけると足音が近づいてくる


「ようこそいらっしゃいました 私女将をしています黒美(クミ)と申します」


女将まで黒いんですけど!

真っ黒の髪に真っ黒の着物・・・・

足袋まで真っ黒ってどんだけ黒でキメてんだぁぁあ!!


玲の肩を抱き小声で話す


「怖ぇーんだけど 真っ黒だよあの人。口紅まで黒いんだけど。ナニ、朝飯にイカ墨でも食ったのかな」

「黒が大好きなんだよ、いるよこんな人。でもホラ、周りはさっきよりマシ・・・・」


その言葉に視線を辺りに巡らした
しかし目に映るのは黒一色


「・・・・・目にイカ墨でも入ってんのかな」

「・・・・・いやいや、黒の方が高級感ない?あの光沢加減とか」

「お前すごいね さっきから何よそのポジティブさ!!」


「銀さんにも分けて欲しいわー!!」と嘆く銀時を引っ張り、案内された部屋へと向かう



「4人部屋と1人部屋を準備していたのですが・・・・如何いたします?」


気まずそうに女将が言う
確かに男3人の中に神楽が1人入るのもアレだし、妙も1人でいるのは寂しいだろう


「玲は全然構わないけど野郎と同じ部屋で寝るなんてもう勘弁ヨ
姉御の部屋で一緒に寝てもいいアルか?」

「もちろんいいわよ ガールズトークで盛り上がりましょ」

「じゃあ女性は1人部屋で男性が4人部屋・・・ということでよろしいですか?」


頷いてみせると「では夕食までごゆっくり 温泉はいつでもご利用いただけますので」と言葉をのこしその場をあとにした




「へぇ、いい部屋じゃん」

「真っ黒じゃなくてマジでよかった」


至って普通の和室

4人部屋と言っていたが随分広く感じる


心底安心したという風な銀時に玲と新八はため息をこぼした


「さっきから敏感に黒に反応しすぎなんだよ。ほらこっち来て?」


窓際に立っている玲に手招きされ何だと思いながら寄ってみる


「景色、海は見えるし辺り一面雪で綺麗じゃん。女将さんもいい人そうだし、たかが黒いからって気にすることないよ」

「でもよ・・・・」

「せっかく福引き当たって来れたんだから楽しまないと。な?」

「・・・・・・」


こくん。と頷いた銀時にそれを見て満足そうに微笑む玲

成り行きを見ていた新八は「やっぱり玲さんの影響力は偉大だ・・・・」と実感したとか






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