本棚2

□悪い大人をベッドの上で
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【2014年リッ誕/特戦期】


『ハンデをちょうだい?』

誕生日くらい――そう言って飲み比べをけしかけて暫くののち、なんと愛しい上司は意外な事に赤い顔をして引っくり返った。
先に度が強い酒を何杯も、そして何種類も煽ってもらったものだから、流石の鋼の肝臓も処理が追いつかなかったらしい。


「ン、あ……リキッド、ぉ」
「あは。隊長、ホントかわいい」

これが特戦部隊の隊長だなんて夢ではないのか?――そう錯覚してしまう程とろけきったハーレムの顔に、リキッドはもはや驚きを通り越して妙な感心を覚える。
それどころか普段とは逆の、己がハーレムの体を暴いているという状況にリキッドの体はますます熱くなるばかりで。

「あう、うっ」
「まだ足んない。もっと、ちょうだい」

こうなってしまったそもそものきっかけは、酩酊したハーレムの一言だった。

『誕生日プレゼントは俺様な』

おそらく彼はそういう意味で言ったのではないのだろう(酔っていて殆どうわ言だった)。だがフニャフニャと緩みきった顔でベッドの上に四肢を投げ出した無防備さが、だらしなく開いた胸元から覗く上気した肌が、リキッドが本来持ち合わせている筈の男としての本能を揺さぶるには十分。
そこからはあれよと言う間に事が進んだ。

弛緩したハーレムの体を組み敷き、見様見真似の愛撫を全身に施していけば思いのほか艶のある反応を示した様子にもう堪えることが出来ず、性急に体を繋げた。
この頃にはハーレムもやっと己の身に起きていることを理解し始めたようだったが時既に遅く、抵抗出来ないほど泥酔していたのも相まってただひたすらに揺さぶられるだけになっていて。

(いつもと完全に逆だよなあ、これ)

臆面もなくこんなことが出来たのは、リキッド自身も酒に呑まれていたからだろうか。

「あ、ふあっ、や……ッ」
「ココ、ぐちゅぐちゅに、なってる。はじめはあんなに、キツかったの、にっ」
「ひあ、ア……ッ、んぁ、ああア!」

ハーレムは達するたびに声を高くしていった。
その声をもっともっと聞きたくて、リキッドは何度でもその熱の治まる兆しを見せない欲塊で腹の奥を穿ち続ける。吐き出した精液は既に収まりきらず、結合部からボタボタと溢れてはシーツにいくつも染みを作っていく。

「も……っ、む、り……! でき、できな、ぁ、ひぐぅっ?!」
「出来る、よ。隊長、俺より体力、あるし」

子供のようにいやいやと首を振るハーレムの両足を少し手こずりながらも抱え上げ、より深くを目掛けて腰を打ち付けた。そうして見下ろしたその先では、食い縛った歯の隙間から堪えきれない悲鳴を漏れさせるハーレムが居て。

「んあっ、ァ、リキッ……も、マジ、無理……! お前のっ、ぉ、かしく……なるッ」
「隊長のほど、立派じゃないンだケド、っ」
「ぁ……バカ……ッ、そこは、あ!」

少し角度を変え、抉ったのは前立腺。
挿入しただけで狙い澄ましたように相性よく打ち当たるそこは、これまでも散々にハーレムを苛んできた弱点だった。

「――〜〜ッあ、あ、ア!」
「ッ、ぐ……!」

数度腰を打ち付ければハーレムが掠れた声をあげて全身を痙攣させる。欲塊は屹立こそしているものの、何も吐き出されていないという事はドライオーガズムに達したのか。
リキッドもまた痙攣する媚肉に煽られるままに溶けた体内へと欲を注ぐ。酩酊していたところに、リキッドによって体力を根こそぎ奪われた形になったハーレムは目に見えてぐったりとし始めていてる。流石に辛そうで、ようやく我に返りつつあったリキッドは突き立てていた楔をゆっくりと引き抜いた。

「あ、ぅ……」
「うわあ、エッロ……」

ぽかりと口を開けたような後腔から、ハーレムが呼吸をするたびに溢れてくる白濁。その量に我ながら呆れる。

「い、やだ……っ、リキッド……!」
「後始末するだけだから。……ちょっとだけ我慢して」
「ふ、ぅあっ、ア」

しどけなく投げ出された両足を再び開かせて、未だ閉じきらない後腔に指を這わせる。
何の抵抗も無くすんなりと奥まで入ったそれで極力刺激せぬよう腹の中に残っている己の精液を掻き出そうとはするものの、敏感になってしまっているハーレムの体はそんなささやかな刺激にすら反応し、望んでいないだろう甘い声を上げさせていた。初めの内は形ばかりの抵抗を見せていた腕も、投げ出されたままで役には立っていない。

「もう一回くらい、出しとく……? ここまだガチガチだし、このままじゃ隊長も辛いと思うんだケド」
「ゃ……、さわン、な……ッ」
「いーから。力、抜いてて?」
「んあアッ、――〜〜っぃ、あ、あ!」

後腔内を軽く掻き回しながら、反対の手でハーレム自身の幹をゆっくりと扱く。あまり急ぎ過ぎると苦痛になるだろう、そう思ってひたすらに優しく押し揉んでやって暫くすると、掠れた声と共に薄くなってしまった精液が少量噴き上がった。

(隊長、目の焦点合ってないや……)

泣き腫らした目で視線をさ迷わせながら浅い呼吸を繰り返すばかりのハーレムの様子に、今更ながらほんの僅かな罪悪感を覚える。
ハーレムもいつも自分を抱き潰した後こんな気持ちでいるのだろうか。いや、だとしたらもう少し優しくしてくれてもいいだろうに。
そんなことを考えながら、リキッドが何となく濡れたハーレムの先端を拭おうと指を滑らせた時だった。

「――え?」
「はあ、ア……ッ」

先端から水のようなものが飛び出したのだ。
勢いの良いそれに初めは尿かと思ったが、それにしては透明で臭いもない。

「し、潮吹きってやつ……?」

自分も何度か経験があるらしい。
らしい、というのはその時は殆ど意識が無く、いつも後から聞かされるだけだったからだ。
見ればハーレムもいつの間にか完全に意識を飛ばしてしまっている。

(黙っておいた方がいい、かな)

きっと憤死ものだ。それでなければ逆ギレされてこちらが酷い目に遭うだろう。
だが、それよりも。

「……誕生日に凄いもの貰っちゃった気分」

これは自分だけの秘密。
自分だけが、今日のハーレムの痴態を知っているのだ。そう考えるだけでリキッドは頬が緩んでいくのを感じる。そして誰が見ている訳でもないのに何やら途方もなく恥ずかしくなってきた。
互いに酔っていたとはいえよくもまあこんな大胆な事が出来たものだと、改めて意識が無いハーレムを見下ろして。

「ありがとう隊長。でも……何かごめんね?」

なんとも複雑なキスをした。


【そして正直明日が怖い】

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