本棚2

□バースデイ
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「ッあ…はァ…!!」


後腔にみっちりと埋まったルーザーの欲塊に腹の奥を突き上げられ、堕ちかけていた意識が引き摺り戻される。
白く霞む眼前には、珍しく荒く息を弾ませるルーザーの笑顔があった。


「る、ざ…兄、貴ぃ…ッも、出来っ、できな…あ…ァアッ!」

「まだ…だよっ」

「ひィッ…!!」


膝が胸に付くほど体を折り畳まれた苦しい体位を強いられ、歯を食い縛ったハーレムの喉からは締め上げられたようなか細い悲鳴が漏れる。

胎内は既に何度も吐き出されたルーザーの精液で満たされ、抜き挿しされるたびに腹の中で粘着質な水音を響かせた。


「あれだけ注いだのに、外にはあんまり出て来ないね」

「ンぁ…」


少し腰の動きを緩めたルーザーが、結合部を形の良い爪先でつうっとなぞる。


「ねえ、気持ち良い?」

「ん、ンッ…ぃ、きもち、い…!」


ゆるゆると揺さぶられ、スプリングが軋む。

ハーレムはうって変わって陶然とした表情で抽挿に腰を振って応えながら、なおも深く銜えこもうと全身でルーザーにしがみついた。
箍などとうに外れ、苦しいほどの快楽を追うことしか今や頭に無い。


「あに、き…ッ、兄貴ぃ…!」

「っ、それじゃ動けないよ…ハーレム」

「ああア!!」


些か乱暴に引き剥がされたかと思えば、視界がグルリと反転する。
突き挿れられたまま結合部を支点に体を裏返されたのだと、理解する暇も与えられずに四つん這いの格好になるや否や、体が浮き上がるほど強く腰を叩き付けられた。


「か、はっ!」

「凄い。痙攣してる、ハーレムのナカ…」

「ッ、や、また…でる…っ」


吐き気すらもよおす強烈な突き上げに、射精感が電流の様に背骨を伝って駆け上ってくる。
何度達しても萎えることの無いハーレム自身の先端を、また先走りが濡らし始めた。しかし。


「ひぎっ!?」

「もう少し我慢してご覧」

「い、や…ッ!!あにっ…やだ…!手、離してくれよォッ!!」

「駄目駄目、こうしておかないと直ぐにイってしまうだろう?」


あと少しの刺激で解放される筈だった欲を、不意に伸ばされたルーザーの手に依って塞き止められてしまい、集中していた熱が行き場を失って逆流する。

そして穏やかな口調とは裏腹に滅茶苦茶と言っていい程激しく攻め立てられ、溶け落ちてしまうのではないかと錯覚するほどの下半身の熱さにハーレムは絶叫した。


「やだあアぁああ"っ!!ぁふ、ぐ…ゥ…ッ…んンンッッッ!!」


咄嗟にルーザーが反対側の手でハーレムの口を塞ぐ。部屋の外に声が漏れることを憚ったからではない。
叫ぶに任せていたら、喉を傷付けるからだ。


「っ…ン―――ッ!!」


そのまま上半身を起こされれば当然、重力に従った体はより深くルーザーの欲塊に貫かれることになる。
ただでさえ苦しいのに更に内臓を押し上げられたハーレムは、見開いた目から涙を溢れさせた。


「く…っ」

「んふっ、ゥ…ッんン…!!」


痙攣が止まらない。
馬鹿みたいに締め付けられて苦しいのか、ルーザーも背後で呻いている。


目の前が再び白く霞み出した。

だがまるで耳の直ぐ横に己の心臓があるのではと思われるくらい喧しい鼓動の音と、意思とは関係無しに体を跳ね回らせる痙攣とで完全に堕ちるまでには到らず、半覚醒の意識の淵で腹の奥が熱くなるのをぼんやりと感じていた。




「あは、見てご覧」

「ア…あ…っ」


促されて気付いた時には前と口、それぞれを押さえ付けていたルーザーの手はもう外されて無い。

掠れた、溜め息とも嬌声ともつかぬ喘ぎを漏らしたハーレムの頭が、張り詰めていた糸の切れたようにカクンと前に傾く。


そして、見た。


発狂しそうな快楽を与えられたにも関わらず張りを失って萎えた自身を。
そしてそこからは、何も出ていないことを。


「今ハーレムは射精せずにイったんだよ、女のコみたいにね」

「イっ…た…?おれ…ッ…ぃ、や…!あにき…っや、だぁ!」


電流を流されたカエルのように不様に痙攣する下半身。訳が解らなくてハーレムは幼子のようにむずかることしか出来なかった。
それに、腰から全身へと広がる絶頂感は未だに止まらない。


「ドライオーガズムって言うんだ」

「ひゃぁんっ!!」


ルーザーが唐突にハーレムを貫いていた杭を抜き去った。
一気に引き抜かれたために結合部の肉が捲り上げられ、その刺激に普段のハーレムからは想像もつかないような甘ったるい声が喉をついて出る。

次の瞬間には心棒を失った後腔からルーザーに散々注ぎ込まれた精液が、ゴポリと音を立てながら溢れ出てきた。
それと一緒に僅かばかり残っていた気力も流れ出てしまったような気がして、ハーレムの意識が急速に暗くなっていく。


「ルー、ザ…ぁに…き…、も…」

「うん。一杯可愛い声聞かせてくれたものね。嬉しいよハーレム、流石僕の弟だ」


抱きすくめられ、耳に注がれる言葉に恍惚とした表情を浮かべたことをハーレム自身理解していたか、どうか。

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