本棚1―1

□可愛すぎるにもほどがある
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【2013年ハレ誕、原作終了後】


「おいリキッド」

「はい?」

「…お前酔ってるだろ」

「酔ってないですぅー!」


こりゃダメだとハーレムは頭を抱えたくなった。いや、実際に抱えてしまったのだが。




今日は、ハーレムがこの島に転がり込んでから初めて迎えた誕生日。

ハーレムの意向もあってリキッド達の時のような盛大な“お誕生日会”は開かれなかったのだが、それでも朝から、そして日が暮れてからも島の住人達が入れ替わり立ち代わり祝いにやってくるものだから(良い意味で)落ち着かず、先ほど漸くリキッドのこしらえたディナーを平らげたばかりだった。

普段は後片付けを手伝ったりするのだが(我ながら素晴らしい進歩だと思う)、今日ばかりは片付けとケーキの準備をリキッドに任せて、一服しに外へ出ていた。

時間にすれば10分も経っていない筈なのだが、ドアを開けた途端にどう見ても酔っているリキッドに迎えられた次第である。




「酔ってないんならこのオレンジの匂いは何だよ、ケーキに使ったリキュールでも飲んだんだろオマエ」

「だって甘かったからちょっとだけー…ほんのちょっとだもん。酔う程じゃないもん。隊長も飲む?飲むよね?」


幼児のような口調になっているのに加え、まだ慣れていない所為もあるだろうが呼び方が名ではなくなってしまっている上に、人に絡んでくるあたり見事な酔っぱらい。
そんなリキッドに纏わりつかれ、さてどうしたものかと部屋を見回したハーレムは、話をそらすための恰好のものを見つけた。


「飲んでやるから、その前にアレ食わせてくれよ。な?」


そう言って指差した先には、テーブルに鎮座したバースデーケーキ。色からしてチョコレートケーキだろう。
その隣には吹き消すロウソクの代わりに洒落たキャンドルが火を灯して置かれている。


「もー、しょーがないなー」

「ホレ、いーから座れ」


纏わりついたまま離れようとしないリキッドに四苦八苦しながらもテーブルについたハーレムは、改めてそのケーキをしげしげと眺めた。


「俺特製、オペラっす!誕生日だしバレンタインだし、頑張ったんだから褒めて!」

「めちゃくちゃ甘そうだな…」

「いちおー甘さは控えめにしたつもりなンすけどォ…使ったリキュールがちょーっと甘いかも。でも美味いンすよ、それ」

「あ?」


それ、とリキッドが視線を寄越した方に転がっている瓶を見て、ハーレムは文字通り固まってしまった。

リキッドがこういったケーキに使うリキュールなど(彼が酒に弱いのもあって)せいぜいアルコール度数が10から20度くらいのものではないのか。
ところがそこに転がっていたのはアルコール度数40を誇る、コアントローの大瓶だった。しかも空だ。


「お…ま、コレどんだけ飲んだ?!」

「んー…残ってたの、ちょっとだけー」


そも何故この孤島にコアントローなどというものが存在しているのか。ハーレムがこの島に転がり込む際に外野が嬉々として祝いだなんだと色々置いていったが、まさかその中に混ざっていたのだろうか。
記憶をひっくり返せば見かけたような気もする。しかし最早後の祭りとはこの事だ。


「しかも“飲め”つっといて空だしよ。ぜってーちょっととかじゃねェだろ…」

「でも甘くて美味いンすよー、こんな」


呆れてリキッドの方を見やれば、フラフラとその顔が目の前に来たところで――


「ン…」


――キスをされた。


「こんな、味」


離れていく舌が名残惜しげに唇をなぞる感触、過ぎた酒で蕩けた表情、酔いが回って上気した頬に潤んだ瞳。

嗚呼どうしてくれよう。
酒が入ったリキッドは凶器に等しい――そんな評価を贈ったのはいつだったか。

破壊力は、今以て健在だったのだ。




喜んで喰らいに行く己もまた健在だが、それに関してはもう何も言うまい――…





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「ね、ぇ…ケーキ、食べないの…?」

「いいからコッチに集中しろ」

「ッンぁあ!!」


ケーキと共に置かれてあったキャンドル以外の他の灯りを全て消し、薄暗くなった部屋に充満する艶のある声と粘着質な水音。

胡坐をかいた上に座らせ、正面からかき抱いたリキッドの顔がギリギリ見える程度のほのかな灯り。
その儚げに揺れる光炎が未だ子供っぽさの残る顔立ちをかえって妖艶に彩る。


「やっ、ふかい…よぉ…っ!」

「逃げんな、気持ちイイくせに」


ハーレムの両側に投げ出されたリキッドの足が床を掻く。自重で腹の奥深くまで入り込んだ欲塊から逃れようとしているのだ。
その、余りの快感ゆえに。


「それに布団も敷いてないからな。床じゃ擦れて痛ェだろうし、バックだと嫌がるだろ」

「だ、からって…、コレ…っも、アッ、ヤだ…あっ」

「ヤダヤダつってももう止めねェ。とんでもねー誘い方しやがって、こうなったらトコトン付き合ってもらうから、な!」

「ひィンッ!!」


リキッドの腰を両手で掴んで逃げようとするのを引き戻す。結果的に最奥を抉られる形になったリキッドはひときわ高い悲鳴をあげ、白濁とした精液を吹き上げた。

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