本棚1―1
□下剋上、始めました
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(特戦期)
「隊長、すっげぇ可愛いっす」
「ちょ…っやめ、リキッド…!」
何だこの状況。
己の身体の上に跨がるリキッドを見上げ、ハーレムは寝起きで呆けた頭をフル回転させる羽目になっていた。
互いに服も何も身に付けていないのは、つい数時間前に身体を重ねてからそのまま寝てしまったからで。
日も明けきらない薄明かりの中にぼんやり浮かぶリキッドの肌の白さが、妙に艶かしい。
いやいやそうでなくて。
「隊長の弱点が右乳首のボタンってホントなんすねー…」
「うあ…ッ」
単なる戯れ言だったのに、まさかの実践。
そしてまさかの感じてる自分。
「左はどうっすか?」
「ッ、てめ…!」
「ん…こっちの乳首も勃ってきたっすよ、隊長」
「な、舐めんなコラ!…ふあっ」
―――どうしてこうなった。
「ッて、いい加減にしやがれ!」
「いでででで!!髪引っ張らないで下さいよっ!!あ、ちょ、いまブチッて…禿げる禿げる!!」
リキッドの後ろ髪を鷲掴みにして無理矢理に引き剥がす。
吊るされた子猫のようになったリキッドが、それでも触れようと手を伸ばしたのを空いた方の手でピシャリと弾きながら、睨み付ける。
その眼光にさすがにリキッドも大人しくなり、抵抗しなくなったところでハーレムは漸く髪を掴む手を離した。
「ったく、日も昇らねェうちから何を盛ってやがる」
「いや、あのォ…」
腰の辺りに感じるリキッドの熱。
健全な男子の生理現象だが、たった今やらかそうとしたことは健全な男子の行動とは言い難い。
悪戯が見つかった子供のように視線を泳がせたリキッドだったが、やがて意を決したかのようにハーレムを睨み据えた。
「下剋上っす!」
「無理に決まってんだろ」
「即答かよ!あっ?ンぁっ」
隙をついてリキッドの屹立をキュッと握ってやれば途端に漏れる甘い声。
若いリキッドを煽ることは至極容易く、ましてや自分が仕込んだ身体だ。
どこをどう弄れば良いのかは解りきっている。
二、三度軽く擦ってやっただけで先走りを溢し始めた先端に、ハーレムは躊躇いもなく爪を立てた。
「ひぁあッ!!っ、たいちょ、」
「な、無理だろォが。ちょっと弄っただけでこんなにしやがって」
「ンぅっ、やっ、だめ…!」
搾るように何度も上下に擦れば、自分の身体を挟んでいるリキッドの内股が震え出す。
幹だけでなくその下にある袋も指先でつつくと、リキッドの身体が面白いように跳ねた。
このままイかせても良かったが、ハーレムは唐突に手を離した。
「っあ?!っや…なん、でえ…?!」
「やりてェんだろ?下剋上ってヤツをよ」
そう言ってリキッドの腕を取り、引き寄せる。
倒れ込んできた身体を受け止めて、その頬を挑発するかのように舐め上げてやった。
ゴクリ、とリキッドの喉が上下する。
「ズルいっす…」
「あン?」
モゾモゾと身体を動かしていたリキッドが拗ねたような顔でこちらを見下ろす。
「こんなにしといて今更…ぁ…」
「何だ、もう諦めンのか?」
腹の間で屹立が擦られるのが気持ち良いのか、腰がユラユラと揺れていて卑猥なことこの上ない。
どうせならもっと乱れさせてやろうと、リキッドの手を取って自らの後腔へと導いてやった。
「オラ、自分でやってみな」
「へ…?」
鳩が豆鉄砲喰らったような、とは今のリキッドのような表情を言うのだろう。
「いっつも俺様が好き勝手やってっからよォ…自分で好きにやってみろや。ホレ、こーやって…」
「うあっ?!や…っやだぁ…!!」
むずかるリキッドの手のひらを包み込み、指を二本揃えさせて後腔に捩じ込む。
まだいくらか緩いソコは何の抵抗も無く、簡単に根本までくわえ込んだ。
「ぃやだっ、んっ…あ!」
「どーだァ?自分のナカはよォ」
「ひ…んッごか、さ…ないで、あっ、う…」
「ホラ、どんなだ?言ってみな」
手首を掴んで軽く動かしてやっただけでこの反応。
更にリキッドの耳元に唇を寄せ、脳を犯すように意地の悪い言葉を紡ぐ。
「リキッド」
「や…う、ぁ、熱い…っす…」
「そォだ。お前ン中は熱くって、ドロドロで。なのにヤらしく絡み付いて締め付けてきやがる」
「そ…んなァ…、ひあっ?!やっ、ンああッ!!」
耳朶をベロリと舐め上げるとリキッドの身体が一際大きく震えた。
そのせいで指が悦所を掠めたのか、溢れた先走りが二人の腹の間を湿らせる。
それを皮切りに、リキッドが少しずつ自らの指を動かし始めた。
「あ…は…っ、んン…!」
「指二本じゃ足んねェだろ、増やせ。そんで、いつも俺はどうしてやってる?」
「っ、たいちょ…は、あ、あ!」
最後まで言葉を継げず、意味の無い母音だけが口をつくリキッドの後ろを見やれば、水音が立つほどに抜き挿しを繰り返す三本の指。
ハーレムはとっくにリキッドから手を離していて、目の前の恥態をただ楽しげに眺めているだけだった。
時々ピクリと跳ねる背中を撫でてやると、益々指の動きが激しくなる。
「ン…たいちょ…っ、奥ッ、奥に届かな…ぁっ、イきたぃい…!」
「あン?ったく、しゃーねェな」
「ふ…ッ、あ…」
奥のイイ所に届かないと訴えるリキッドの額に軽く口付け、後ろに手を伸ばす。
ハーレムはそのまま、リキッドの手首を強く掴んで思いきり奥まで指をくわえ込ませてやった。
「ヒッ!?んぁアあッ!!」
「…奥まで届いたじゃねェか」
「ふああっ、やッ、動かさないでぇ…!!」
「動かしてンのは自分だろ」
イけ、と低く囁いてやればリキッドはいとも簡単に果てた。
押し殺したような悲鳴と共に吐き出された白濁が、腹の上を伝ってシーツに流れ落ちていく。
「――…ッ、ふ、あ…」
「どーよ、テメェの指だけでイっちまった気分は」
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